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新たなアプリケーション分野に道を開くマグネシウム合金

March, 15, 2016, Aachen--特殊な加工技術により選択的レーザ溶融(SLM)をより扱いが面倒な材料で使えるようになっている。例えば、マグネシウム合金、銅合金、その他の亀裂が入りやすいもの、溶接が難しい金属。これらの材料の利用により、新しいアプリケーション領域でSLMプロセスが可能になる。
 ステンレススチール、アルミニウム、チタン合金など「通常」の材料を用いるSLMはすでに製造分野で発達している。材料やプロセスは広範に研究され、関連機械装置は多くのベンダから販売されている。マグネシウムなど、他の材料を扱おうとすると難しくなる。マグネシウムはアルミニウムよりも30%軽量であるだけでなく、再吸収可能なインプラント製造にも使え、軽量構造、医療技術アプリケーションでの利用では非常に有望である。
 フラウンホーファーILTの研究チームは、SLMを使って扱いにくい材料を取り扱えるようにする加工技術を開発した。多量の煙に対抗するために、ガスの流れをシールドするように最適化された新しいプロセスチャンバが、マグネシウム合金用に、ILTスピンオフAconity3Dと協力して開発された。さらに銅合金で利用するプロセスも最適化されている。亀裂が入りがちで、溶接が難しい金属で使用するための高温予熱を持つシステムである。
 特注デザインや複雑な構造など、インプラントの望ましい特徴は、SLMを使うと余分な費用をかけずに製造できる。材料としてマグネシウムは、人体で再吸収可能という追加の利点がある。固体マグネシウム材料をベースにしたインプラントはすでに使われているが、細孔構造のインプラントでは、さらなる利点が得られる。
 新しい骨材料をインプラントにするというアイデアがある、同時に金属材料が体に再吸収される。フラウンホーファーILTは、この種のマグネシウム合金ンプラント向けのSLMプロセスを開発した。ここでは、インプラントの正確な形状と細孔の両方が選択可能である。そのインプラントプロトタイプの生体適合性は、試験管内ですでに実証されている。
 フラウンホーファーILTはさらに継続して新しい材料とプロセスを研究するが、マグネシウム合金用のSLM装置はすでにAconity3Dが販売している。
 マグネシウム合金の利点は、航空宇宙やモータースポーツの世界でかなり前から知られている。材料はアルミニウムよりも30%軽量であるが、取り扱いは遥かに難しい。
 SLM加工技術は、この問題を素晴らしい方法で解決する。そのコンセプトを詳細に探究するために、フラウンホーファーILTは、1:4スケールでオートバイのトリプルクランプを作製した。これはコンピュータでコンポーネントのトポロジー全体を最適化することによって可能になった。ここでの目的は、同等の軽量パーツ向けに完全な構造最適化と重量最適化を達成することである。
 これはマグネシウム合金で造った複雑なコンポーネントの世界初の例の1つである。品質に関しては、他のSLM製品と同等であるが、強さに関しては鋳造パーツよりもはるかに優れている。
 これは軽量構造だけでなく、頭蓋-顎顔面応用向け特注骨置換など、医療技術にも新たなアプリケーションのドアを開く。