October, 2, 2015, 東京--アドバンテストは、生体皮膚下3 mmの血管を非侵襲で画像化できる光超音波顕微鏡を開発した。
再生医療をはじめとした皮膚の研究において、その評価手法は生体組織検査(生検)が一般的であるが、生検では経時変化の確認が難しく、動物実験による犠牲死も問題になっている。アドバンテストが開発した光超音波顕微鏡はこれらの問題やストレスから研究者を開放する新たな評価ツールとして、再生医療、皮膚科や形成外科などの研究の推進に貢献する。
皮膚下の血管を非侵襲で画像化
皮膚の移植や再生医療において移植部位の血行の回復は重要な評価項目。また糖尿病性壊疽のように疾患と皮膚下の血行は密接に関係する。しかし、治療により血行が回復しても、その効果を非侵襲に評価することは困難である。現在の超音波診断装置(エコー)では生体深部は画像化できるものの、分解能が悪いため皮膚下の血管のイメージングには適さない。顕微鏡に代表される光学イメージングでは高解像度の画像が得られるものの、生体組織では光が散乱するため皮膚下深部のイメージングはできない。
光超音波イメージングは、超音波の伝搬特性と光の吸収特性を合わせ持つ新規のハイブリッド・イメージング手法。生体内のヘモグロビンが光のエネルギーを選択的に吸収し超音波を発生する。この超音波を生体表面で超音波センサにて受信し、高コントラストな血管像を得ることができる。超音波を用いることで生体数mm深さの正確な情報を数値と共に高コントラストで画像化できることが特徴。
装置の特徴
アドバンテストは、2010年より光超音波技術の開発に取り組んでいる。独自に開発したセンサ、電気回路により、皮膚へのMPE (Maximum Permissible Exposure — 最大許容露光量) を超えることなく高速で測定することができる(波長:532nm)。測定範囲は 4mm×4mm×3mm (Depth) で最速20秒/スキャンで測定することができる。測定データは専用ソフトウエアの独自アルゴリズムにより画像化され、準リアルタイムで2次元、3次元画像を構築できる。
また、測定時は対象物に超音波ゼリーを塗布するだけで測定することができ、面倒なセットアップが不要なうえ、フレキシブルアームにより測定対象の様々な部位の測定も簡単。