January, 25, 2023, 京都--島津製作所は、「卓上MALDIイメージングキット」を国内外で発売した。
同製品は、卓上型のマトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-8020」「MALDI-8030」での「質量分析(MS)イメージング」を可能にする。MSイメージングとは、質量分析で得た質量情報から目的化合物がどのように分布しているかを画像で表示する技術。医薬・臨床分野において患部にどの程度の疾患バイオマーカーが存在するかの確認や、化学分野での樹脂中の添加剤の分布確認をはじめとした研究用途などで測定ニーズが高まっている。
マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)とは、島津のエグゼクティブ・リサーチ フェローである田中耕一のノーベル化学賞の受賞理由となった技術。マトリックス(イオン化補助剤)を混ぜた試料にレーザを照射し、タンパク質などの高分子化合物を壊さずイオン化する。飛行時間型質量分析計(TOF MS)は、精密質量数の情報が得られ、広い質量測定範囲と高い分解能が特徴。両者を組み合わせたMALDI-TOF MSは、近年では研究開発や品質管理だけでなく臨床分野でも迅速な分析法として注目されている。
新製品の特長
1. 卓上MALDIでMSイメージングを可能に
「MALDI-8020」「MALDI-8030」用に新たに設計したITOコートスライドガラスにより、従来の用途として多い質量数確認などに加え、MSイメージング測定を可能にした。
2. 幅広い分野のMSイメージングに対応
医薬・臨床分野では疾患バイオマーカーの探索や、内服した薬がどのように体内に行きわたり作用するかを確認する薬物送達・薬物動態の研究、食品分野では農産物中の機能性成分の分布の確認など幅広い分野に活用できる。
3. 誰でも簡単にMSイメージングを
ITOコートスライドガラスと各種ツールを組み合わせ、マトリクス塗布などの前処理を簡単に準備できる。アダプタをセットしMALDI本体に挿入するだけで、測定を開始。キットに含まれる専用ソフトには、画像の重ね書きなど未経験者でも簡単にデータ取得・閲覧できる機能が多数搭載されている。
(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp)