February, 14, 2014, Singapore--シンガポール国立大学(NUS)生体医用工学の研究チームは、独自開発した生体分子診断システムで複雑な癌診断プロセスを簡素化、高速化し、客観性を高めた。
この診断システムは、現在までのところ、内視鏡診断中、消化管の前癌状態の組織でもリアルタイム診断で人に使用できることを臨床的に実証した世界唯一のシステムである。従来の内視鏡技術は医師の目による画像解釈に依存し、それに続いて数日後に病理学者が生体試料を分析するが、これとは違い、新しい診断システムは生体分子情報のコンピュータ解析を利用し、客観的な癌診断をほぼ瞬時に行うことができる。
NUSチームが設計した独自の共焦点光プローブと専用のオンラインソフトウエアシステムを用いてデータ収集と評価の時間も短縮される。共焦点光プローブにより1秒足らずで組織の生体分子フィンガープリントの収集が可能になる。一方、オンラインソフトウエアは収集した生体分子情報を抽出、解析し、内視鏡検査中にリアルタイムで診断結果を出すことを可能にする。
ラマン分光学をベースにした振動分光法技術を用いて分子固有の化学フィンガープリントを収集するが、このシステムはデータ収集に時間がかかる典型的な弱いラマン信号という問題に直面することはない。特殊設計の共焦点光プローブはこの問題を克服しただけでなく、高いファイバ背景雑音や深径覚という技術的な課題も克服している。
この生体分子診断システムは、シンガポールでこれまでに様々な癌のタイプ、胃、食道、大腸、直腸、頭頸部、頸部癌、500以上の症例で使用されている。
(詳細は、 wwww.nus.edu.sg)