January, 12, 2017, 大阪--産業技術総合研究所(産総研)は、2017年1月6日に「産総研・阪大 先端フォトニクス・バイオセンシングオープンイノベーションラボラトリ」(AIST-Osaka University Advanced Photonics and Biosensing Open Innovation Laboratory; PhotoBIO-OIL)を大阪大学(阪大)と共同で阪大吹田キャンパス内に設立した。
産総研のオープンイノベーションラボラトリ(OIL)は、産総研の第4期中長期計画(2016~2019年度)で掲げている「橋渡し」を推進していくための新たな研究組織の形態で、PhotoBIO-OILがその5件目となる。また、PhotoBIO-OILは近畿圏で設立する初めての組織となる。
産総研は、核酸やタンパク質を素早く計測するバイオデバイスの開発で世界的にトップレベルの技術を有している。例えば産総研が開発した超高速遺伝子検査システムは、マイクロ流体チップを用いて熱交換や反応の高速化・迅速化を実現して、既存のPCR法と同等のすぐれた検出感度でありながら分析速度を従来の10倍以上高速化した点で世界最高峰の性能をもつ。また細胞を配置して内部に様々な機能分子を導入できる「細胞アレイ」や、細胞の中にある小器官や機能分子集合体を自在に動かすことができる「光ピンセット」など独自性の高い研究開発を進めている。
阪大は、細胞内の生体分子をそのまま観察できる超高速ラマン顕微鏡や、光の波動性による回折限界を超えた超解像光学顕微鏡をはじめとする生体への負荷が少ない低侵襲で、連続して3次元での観察ができる細胞イメージング技術をもつ。また、表面プラズモン共鳴の原理を利用した小型・超高感度な計測・センシング技術や、高度な信号処理技術を利用した超小型・ワイヤレスのIoTセンシング技術の開発など、様々な卓越した最先端ナノフォトニクス技術の研究を進めている。
産総研と阪大は新たな産総研の拠点(PhotoBIO-OIL)を阪大吹田キャンパスに設置し、阪大が有するナノフォトニクス技術と産総研のバイオデバイス技術を融合し、生体メカニズムを解明するとともに、画期的な創薬、薬効・毒性評価や、健康状態評価、感染症診断を実現するためのバイオセンシング技術の研究開発を行う。またPhotoBIO-OILでは民間企業と密接に連携しつつ、同時に共同研究を進め、得られた成果の速やかな産業化と社会実装を目指す。
PhotoBIO-OILで行う主な研究
1) 革新的な細胞操作・イメージング技術の開発
2) 次世代フォトニクスバイオセンサの開発
3) バイオセンシングの超高感度IoTプラットフォームの構築
(詳細は、www.aist.go.jp)