September, 25, 2015, Cambridge--MITの研究チームは、色を精密制御した光、ピュアホワイトの光でさえも放出できる材料ファミリを開発した。出力は、幅広い外部条件に応じて調整可能。その材料は、化合物、生体化合物、あるいは機械的条件、熱的条件の検出など幅広く利用できる。材料は、希土類元素を使った金属ポリマジェル。
発光ランタニド金属ジェルは、化学的に調整することで、化学的、機械的あるいは熱的刺激に応じて発光する、特定の物質や条件の存在を指示する可視光を発光できる可能性がある。
Niels Holten-Anderse材料科学・工学准教授の説明によると、新しい材料は、生物学に触発された材料を扱う研究の一例。「わたしの得意分野はバイオミメティクス(生体模倣)である。自然の技を利用してバイオインスパイア(bio-inspired)ポリマを設計する。生命体がどのうよに組み立てられているかを化学的、機械的見地から理解しようとしても、かろうじて表面をなぞるだけである」と同氏は語っている。
数100万年にわたり困難な環境条件に適応するために進化してきた、そのような自然の材料を研究することによってエンジニアは、他の種類の材料に適用できる「設計原理を引き出すことができる」と同氏は付け加えている。
Holten-Anderse独自の研究では、イガイが自身を岩に固定するために使う糸に特殊な架橋結合、つまり金属配位結合を調べた。このような結合は、酸素を赤血球中のヘモグロビンに結合することなど、多くの生物学的機能で重要な役割も果たしている。
そのアイデアは自然をコピーするというのではなく、自然の材料の根本原理の一斑を理解し、適用することである、と同氏は強調している。ある場合には、こうした原理は、自然の材料よりも構造的にもっと単純で、作りやすい材料に適用できる。
この場合、希土類元素、ランタニド族金属の利用は、幅広く利用されているポリエチレン・グリコール(PEG)というポリマと結合して、チューナブル多色発光の材料となった。その発光は、非常に小さな環境変化を反映することができるので、そうした条件の細部を明らかにする色分けされた出力が得られる。
Holten-Anderseは、「それは外部のパラメータに対して超高感度である。何をやっても、それが結合力学を変える、つまりその色を変える」と説明している。
したがって、例えば、その材料は特定汚染物質、毒素、病原菌を検出するように設計でき、結果は色の出力で直ちに見ることができる。
その材料はまた、機械的な変化の検出もできる。機械系における応力検出にも利用可能。たとえば、流体の力の計測は難しいが、このアプローチは感度のよい手段となる。
その材料は、ジェル、薄膜として作製でき、また構造物に適用できるコーティングにもできるので、故障が起こる前に故障の進展を示すことができる。
ポリマの金属配位結合は、Holten-Anderseの他の研究テーマであり、別の論文で、剛性を含め、可変機械特性を持つポリマ作製を報告している。こうした材料は当然、自己組織化的、自己回復的であり、エネルギー吸収材料として有用。あるいは、破壊することなく衝撃を吸収できることが求められる生体インプラントでも有用である。
この研究には関わっていないが、デューク大学化学教授、Stephen Craig氏は、「ここで素晴らしいことは、その材料が幅広い多様な刺激に応えて色を変えることである」と指摘している。「基準状態を白色に設定できることは非常に役に多立つ。容易に視認できる」とコメントしている。