July, 30, 2015, 東京--東京大学情報理工学系研究科 石川渡辺研究室と東京エレクトロン デバイス(TED)は、8bit階調の映像を最大1,000fpsのフレームレートで投影することができる世界最速レベルの高速プロジェクタを共同で開発した。
東京大学石川渡辺研究室とTEDは、2014年5月より共同研究を行い、プロジェクタのフレームレートを高速化する研究を行ってきた。その成果として、高速プロジェクタの実用試作機DynaFlashを開発した。同時に、応用例の一つとして、高速移動体へのプロジェクションマッピングシステムを試作した。
1.8bit階調の映像を最大1,000fpsで投影
開発した高速プロジェクタは、米Texas Instruments社DLP DMDチップ(Digital Micromirro Device)と高輝度LED光源を用い、最大1,000fpsで8bit階調の映像を、最小遅延3msで投影する。FPGAに組み込んだ高速制御回路を新たに開発し、これを用いてDMDとLEDを高速に制御することで、高いフレームレートを実現している。さらに、独自の通信インタフェースによって、画像を高速転送する回路を計算機に搭載することで、映像生成から投影までの遅延を最小3msにまで抑えることができる。
2.高速プロジェクタと高速ビジョンの連携で新たな応用
この高速プロジェクタの応用例として、高速で移動する対象物へのプロジェクションマッピングシステムを試作した。このシステムは、高速ビジョンにより対象物の位置を認識し、その対象物に対して遅れなく映像を投影する。従来のディスプレイでは、運動の速度に対してディスプレイの速度が不足しているため、大きなずれを生じていた。これに対し、今回のシステムでは高速処理を実現することにより、ずれのない映像を得ている。
TEDは、高速プロジェクタDynaFlashをTEDの自社商品ブランドinrevium(インレビアム)として、2016年度夏頃に販売開始を予定している。