January, 21, 2026, 東京--清水建設(株)は、有筋の大型曲面部材の施工に対応した材料噴射型3Dコンクリートプリンティングシステムを開発した。
開発したシステムは、9自由度のガントリーロボットと、噴射後の材料の挙動を事前検証できる噴射シミュレータを組み合わせて構築したもので、材料押出型のプリンティングでは困難だった鉄筋入りの構造部材や複雑な形状の大型部材を高精度で自動造形することができる。
システムを構成する噴射シミュレータは、カーネギーメロン大学(CMU)機械工学科の嶋田憲司教授が主宰する、計算工学・ロボティクス研究室(CERLAB:Computational Engineering and Robotics Lab)と共同開発したものである。
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が社会課題となる中、建設業界では施工の自動化・省人化が喫緊の課題となっている。コンクリート施工の分野では、3Dプリンティングの実用化が期待されており、セメント系材料を下方へ押し出しながら積層していく材料押出型のプリンティングを中心に現場適用が進んでいる。ただ、材料押出型は鉄筋を積層体の中に組み込むことが難しく、3Dプリンティングだけで構造部材を製造するのは困難。鉄筋入りの構造部材の製造に適しているのは、セメント系材料を吹き付けて造形物を構築する材料噴射型のプリンティングだが、プリンタの動作制御が複雑になるため、造形精度が確保しづらいという課題があった。
今回構築したシステムでは、プリンティング制御のパラメータ設定にあたり、噴射シミュレータを用いて最適なノズル経路、噴射距離・角度・速度、材料吐出量等を導出することで、プリンティングの高精度化と不良率の最小化を図る。他方、プリンティングに用いるガントリーロボットは、門型フレームの上部に配したXY方向・2軸の移動機構に7自由度のロボットアームを吊り下げるように接続したものである。
造形範囲は奥行6m・幅4m・高さ3mに及び、アーム先端のノズルから多方向かつ広範囲に材料を噴射し、配筋の内側まで充填させることができる。実証試験では、下層と上層が中心部から張り出したねじれ形状の曲面壁(高さ2.5m)を4時間で造形することに成功した。
構造部材の3Dプリンティングが現場実装されれば、建設生産の省力化・省人化が進展し、構造物の意匠の自由度も高まることが期待される。今後、清水建設は、建設3Dプリンティングのさらなる高度化に向けた技術開発に取り組み、コンクリート施工の完全自動化に挑戦していく考えである。