December, 24, 2025, Montreal--マギル大学(McGill University)のフェロプトーシス(細胞死の一種)を研究するチームは、この過程が細胞の奥深くから始まることを発見した。この発見は、ガンや神経変性疾患の新たな治療法につながる可能性がある。
摂取時に光る抗酸化プローブ(antioxidant probes)を用いて、チームはフェロプトーシス(ferroptosis)をリアルタイムで追跡し、この過程が最初に起こる主要な細胞構造である小胞体(ER)を特定した。チームは、ER(endoplasmic reticulum)とリソソームを保護することでフェロトーシスをリアルタイムで完全に止めることができることを発見した。
「フェロトーシスはガン治療や神経変性疾患における治療の可能性を持っている」と、McGill化学科教授であり、この本研究の主任著者であるGzalo Cosaはコメントしている。「とは言え今までは、どうやって始まるのか、また伝播するのか分かっていなかった。この情報は、現在のフェロプトーシス誘導薬および阻害剤の作用を理解する上で極めて重要である。」
「われわれの結果は、ERとリソソーム(lysosomes)を保護することでフェロトーシスを中止できることが示されている。対照的に、細胞膜の外側の葉片(leaflet)を保護することはフェロプトーシスの進化に影響を与えない」(Cosa)。
ガンおよび神経変性疾患への示唆
フェロプトーシスは細胞膜の脂肪を損傷する暴走化学反応を引き起こすことで細胞を殺す。ガンでは、フェロプトーシスを意図的に誘発することで腫瘍の成長を止める可能性がある。アルツハイマー病、パーキンソン病などの疾患では、フェロトーシスの進行を遅らせることで健康な脳細胞を守ることができる。
「新しい形態の細胞死の分子作用を理解することは健康にとって極めて重要である。そのような理解が、より良い治療法の開発への道を開く」(Cosa)。
細胞死の新たな窓
研究チームの特注作成した蛍光生成抗酸化物質は灯台のように働き、細胞内で脂質損傷がいつどこで始まるかを明らかにした。この研究は、フェロトーシスを阻害または誘導するための薬剤を研究するための強力な新プラットフォームを提供する。
「これらの抗酸化物質は、この形態の細胞死の進化の解像度と可視化をさらに可能にし、細胞レベルで前例のない分子情報を提供する」とCosaは話している。