March, 11, 2015, Boca Raton--VTTフィンランド技術研究センタが開発した方法は、OLED技術をベースにし、印刷機を利用して、広告ディスプレイなどにパタン化された柔軟な発光面を造ることができる。この方法により、窓ガラスやパッケージングに透明なスマート面を付けることもできる。
OLED技術は携帯電話ディスプレイやテレビで一般に使用されているが、これまではガラス面だけであった。これは従来のマイクロエレクトロニクス製造法を用いて製造したためである。VTTの方法を用いることでOLED素子はガラス面だけでなく、金属表面、柔軟なプラスチックフィルム上にもプリントでき、非常に大きな発光面が可能になり、この技術の利用可能性が広がる。
グラビアやスクリーン印刷などの従来の印刷法は大量生産を可能にするものだが、これらの方法をOLED発光面製造に利用する。したがって、製造は従来の印刷所などの工場で可能になる。
グラビア印刷、スクリーン印刷法を用いて製造されたOLED発光面は約0.2㎜厚で、内部で発光が起こる。ここには、数百nmの電極やポリマ層が含まれる。この現象はエレクトロルミネセンスと言われ、ここでは、電界で発光する有機半導体が必要になる。OLEDの輝度は、LEDの最大輝度の1/3程度。利点は、LEDは点光源技術であるが、OLEDはその面全体で発光すること。
現状では、発光ポリマ材料が酸素や湿度の影響を受けやすいため、VTTのプラスチックOLEDフィルムは一年程度しか発光しない。スクリーンプロテクタの開発が継続しており、フィルムの応用可能性も増えているので、将来的にはフィルムの寿命は延びる、とVTTは説明している。
「プラスチックフィルムは広告キャンペーンに適している。発光しない単なる印刷グラフィックやe-インクタイプのモノクロディスプレイよりも、大型の発光面を使うことで注目を集めることができるからだ」とVTTの研究長、Raimo Korhonen氏はコメントしている。
OLED光をワイヤレスデータ転送の送信器として使用することも可能。これによって、IoTアプリケーションで印刷された発光面を利用する新たな可能性が開ける。