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創薬のゲームチェンジャー、革新的な高速3Dバイオプリンタ

November, 22, 2024, Melbourne--メルボルン大学の生物医学エンジニアは、軟骨組織から軟骨や骨などの硬い材料まで、人体の多様な組織を密接に模倣した構造を製造できる3Dプリンティングシステム(バイオプリンタ)を発明した。

この最先端技術は、ガン研究者に特定の臓器や組織を複製するための高度なツールを提供し、新しい医薬品療法の予測と開発の可能性を大幅に向上させる。これにより、動物実験の必要性が減り、より高度で倫理的な創薬への道が開かれる。

メルボルン大学Collins BioMicrosystems Laboratoryの責任者David Collins准教授は、次のようにコメントしている。
「プリント速度の大幅な改善に加えて、われわれのアプローチは、プリントされた組織内での細胞の位置決めをある程度可能にする。細胞の不適切な配置は、ほとんどの3Dバイオプリンタが人間の組織を正確に表現する構造を作成できない大きな理由である。

「自動車が適切に機能するために機械部品を正確に配置する必要があるのと同じように、組織内の細胞も正しく整理されなければならない。現在の3Dバイオプリンタは、誘導なしで自然に整列する細胞に依存しており、これには大きな制限がある。

「一方、われわれのシステムは、振動する気泡によって生成された音波を使用して、3Dプリントされた構造内に細胞を配置する。この方法は、細胞が人体に見られる複雑な組織に成長するために必要な有利なスタートを提供する。」

市販されているほとんどの3Dバイオプリンタは、低速でレイヤーごとの製造アプローチに依存しており、これにはいくつかの課題がある。この方法では、完成までに数時間かかることがあり、プリンティングプロセス中の生細胞の生存能力が危険にさらされる。さらに、プリントされた細胞構造は、分析とイメージングのために標準的なラボプレートに慎重に移す必要があるが、これはこれらの壊れやすい構造の完全性を損なうリスクのある繊細なステップである。

メルボルン大学の研究チームは、洗練された光学ベースのシステムを開発することで、現在のプロセスをひっくり返し、レイヤーごとのアプローチの必要性を置き換えた。

この革新的な技術は、振動する気泡を使用してわずか数秒で細胞構造を3Dプリントし、従来の方法の約350倍の速さで、研究者は細胞の解像度でヒト組織を正確に複製することができる。

3Dプリンティングの時間を大幅に短縮し、標準的なラボプレートに直接プリンティングすることで、チームは細胞の生存率を大幅に向上させると同時に、物理的な取り扱いの必要性をなくすことができた。プリントされた構造がプロセス全体を通して無傷で無菌状態のままであることを確認する。

この研究の筆頭著者Ph.D学生Callum Vidlerは、「この画期的な技術はすでに医学研究分野で興奮を引き起こしている」とコメントしている。

「生物学者はバイオプリンティングの計り知れない可能性を認識しているが、これまでは、非常に出力の低いアプリケーションに限定されていた。われわれはこのギャップに対処するために技術を開発し、速度、精度、一貫性を大幅に向上させた。これにより、ラボでの研究と臨床応用との間に重要な架け橋が生まれる」と同氏はコメントしている。

「これまでに、Peter MacCallum Cancer Centre, Harvard Medical School, およびthe Sloan Kettering Cancer Centreなどの機関の約60人の研究者と協力してきた。フィードバックは圧倒的に肯定的である。」