September, 12, 2024, Davis--UC Davisの研究者たちは、脳組織への害を少なくして脳細胞の活動の高速画像をキャプチャするための新しい顕微鏡を開発した。この新しいアプローチは、マウスを用いた研究で、ニューロンがリアルタイムでどのように通信するかをより明確に把握し、脳機能や神経疾患に関する新たな知見につながる可能性がある。
「われわれの新しい顕微鏡は、学習、記憶、意思決定などの基本的な脳機能を理解するために重要なニューラルネットワークのダイナミクスをリアルタイムで研究するのに理想的だ。たとえば、研究者はこれを使用して学習中の神経活動を観察し、このプロセス中の様々なニューロン間のコミュニケーションと相互作用をよりよく理解することができる」と、研究チームリーダー、UC Davis電気コンピュータ工学科の准教授、Weijian Yangはコメントしている。
2光子蛍光顕微鏡と呼ばれる技術に基づく新しい顕微鏡は、Opticaで説明されている。
「ニューロンの活動をリアルタイムで観察できるツールを提供することで、われわれの技術は病気の病理を最も早い段階で研究するために使用できる。これは、研究者がアルツハイマー病、パーキンソン病、テンカンなどの神経疾患をよりよく理解し、より効果的に治療するのに役立つ可能性がある」と、論文の筆頭著者、Yangの下で電気およびコンピュータ工学Ph.D学生、Yunyang Liは話している。
ダメージの少ない高速イメージング
2光子顕微鏡は、サンプル領域全体にわたって小さな光点をスキャンして蛍光を励起し、その結果得られた信号をポイントごとに収集することにより、マウスの脳などの散乱組織の深部をイメージングできる。次に、このプロセスを繰り返して、各イメージングフレームをキャプチャする。二光子顕微鏡は詳細な画像を提供するが、時間がかかり、脳組織に損傷を与える可能性がある。
研究チームは、スポットの代わりに短い光線を使用して、ニューロンが活動している脳の特定の部分を照射することにより、これらの制限を克服することを目指した。これにより、より広い領域を一度に励起してイメージングすることができるので、イメージングプロセスが大幅にスピードアップする。また、背景や不活性領域ではなく、関心のあるニューロンのみを画像化するため、脳組織に蓄積される光エネルギー全体が減少し、潜在的な損傷のリスクが低下する。
研究チームは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を使用してこれを達成した。これは、光ビームを動的に形成して操作できる、個別に制御される数千の微小ミラーを収容するチップであり、アクティブなニューロンの正確なターゲティングを可能にする。研究チームは、高度な計算アルゴリズムを使用して、画像化される脳組織のニューロン構造に適応する方法で個々のDMDピクセルをON、OFFすることで、適応サンプリングを達成した。
研究チームはまた、DMDを使用して高解像度スキャンを模倣する技術を開発した。これにより、より高速なスキャンから高解像度の画像を再構築することができ、関心のあるニューロン領域を迅速に特定することができる。
「これらの開発は、それぞれが単独で重要だが、一緒になって強力なイメージングツールが生まれる。これにより、生体組織へのリスクを軽減しながら、動的な神経プロセスをリアルタイムで研究する能力が大幅に向上する。これらの進歩により、高品質の画像を取得するために必要な時間とリソースが削減され、このアプローチをマルチプレックスやリモートフォーカスなどの他の技術と簡単に組み合わせることができるようになった」とYangは説明している。
神経活動の捕捉
研究チームは、新しい顕微鏡を使用して、生きたマウスの脳組織の神経活動の指標であるカルシウムシグナルを画像化することにより、新しい顕微鏡を実証した。このシステムは、従来の2光子顕微鏡よりも大幅に高速な198Hzの速度でこれらの信号を捕捉し、低速のイメージング方法であれば見逃される可能性のある素早いニューロンイベントをモニタできることを実証している。また、適応型ライン励起技術と高度な計算アルゴリズムを組み合わせることで、個々のニューロンの活動を分離できることも示した。
次に、研究チームは、細胞内の電圧を顕微鏡に画像化する能力を統合して、神経活動の直接的かつ非常に迅速な読み出しを捉えることに取り組んでいる。また、学習中の神経活動の観察や疾患状態の脳活動の研究など、実際の神経科学への応用にも新しい方法を使用することを計画している。