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ボトルシップ型フェムト秒レーザ三次元加工技術を開発

January, 21, 2015, 和光--理化学研究所(理研)光量子工学研究領域 理研-SIOM連携研究ユニットの杉岡幸次ユニットリーダーらの研究チームは、2光子造形法によりガラスマイクロ流体構造内部に精密な三次元構造を有する機能素子を形成する技術を開発した。
 高速・高感度で分析できるバイオチップは、医療やバイオ化学、環境などの分野で注目されており、マイクロ流体デバイスなど、いくつかの機器は市販されている。研究チームはこれまで、フェムト秒レーザを用い、透明材料であるガラス内部にガラスマイクロ流体構造を作成する技術の開発を行ってきた。フェムト秒レーザは、レーザ光の集光照射によって、本来は光を透過する透明材料に多光子吸収を誘起する。このときレーザ光の集光点を透明材料内部に設定すれば、材料内部の集光点においてのみ強い吸収を生じさせることができる。集光したレーザを三次元走査することで、透明材料内部の直接三次元加工が可能になる。
 従来の技術では、ガラスマイクロ流体構造の作製時に、内部にいくつかの機能素子を形成できるものの、加工解像度の制約から、マイクロ/ナノスケールのより複雑な三次元構造を有する機能素子の形成は困難だった。研究チームは、従来と同じフェムト秒レーザを用いて、より微小で複雑な三次元構造をガラスマイクロ流体構造内部に形成できる新技術の開発に取り組んだ。
 研究チームは、ガラスマイクロ流体構造内部に三次元の微細機能素子を形成するため、まず、作製済みの流体構造の中にネガ型レジストと呼ばれるポリマーを流し込みプリベークした後、従来と同じフェムト秒レーザを用いて2光子造形を行い、レーザ光照射領域のポリマー同士だけを連結させた。最後に現像液を用いてレーザを照射していない領域を洗い流し、レーザ光照射領域を現像すると、ガラスマイクロ流体構造内部に、三次元ポリマーマイクロ/ナノ構造体を形成できた。
 これは、2光子光造形技術を組み合わせ、ガラスマイクロ流体構造内部にポリマーからなる三次元マイクロ機能素子を形成する新しい技術。あらかじめガラスの中に作製されたガラスマイクロ流体構造内部に、後から三次元ポリマーマイクロ構造を付加することから、「ボトルシップ型フェムト秒レーザ三次元加工技術」と名付けた。
 開発した技術を用いて、ガラスマイクロ流体構造内部に、2液を効率よく混合するマイクロミキサーや細胞の検出・計数を行うマイクロレンズアレイを付加したバイオチップを作製し、その機能を実証した。
(詳細は、www.riken.jp)