May, 2, 2024, Stanford--マイクロスケール3Dプリンティングの新しいプロセスでは、医療、製造、研究などのアプリケーション向けに、ほぼすべての形状の粒子を、1日あたり最大100万個の粒子のペースで作り出す。
3Dプリントされた微細粒子は、肉眼では埃のように見えるほど小さく、医薬品やワクチンの送達、マイクロエレクトロニクス、マイクロ流体工学、複雑な製造のための研磨剤などにアプリケーションがある。しかし、光の供給、ステージの動き、樹脂の特性を正確に調整する必要があるため、このようなカスタムマイクロスケール粒子のスケーラブルな製造は困難である。現在、スタンフォード大学の研究者は、1日に最大100万個の非常に詳細でカスタマイズ可能なマイクロスケールの粒子をプリントできる、より効率的な処理技術を導入した。
「われわれは今、これまで粒子製造では示されていなかった速度で、幅広い材料から、微視的スケールまで、はるかに複雑な形状を作り出すことができる」と、スタンフォード大学DeSimoneラボのPh.D候補、このプロセスを詳述した論文の筆頭著者Jason Kronenfeldは話している。
この研究は、2015年にDeSimoneらによって導入された連続液体界面生産(CLIP)として知られるプリンティング技術(CLIP)に基づいている。CLIPは、スライス状に投影されたUV光を使用して、レジンを所望の形状に迅速に硬化させる。この技術は、UV光プロジェクタの上にある酸素透過ウインドウに依存している。これにより、液体レジンが硬化してウインドウに付着するのを防ぐ「デッドゾーン」ができる。その結果、繊細な形状をウインドウから各層を剥がすことなく硬化させることができ、粒子プリンティングの高速化につながる。
「光を使って、型を使わずに物体を作製することで、粒子の世界にまったく新しい地平が開ける。さらに、それをスケーラブルな方法で行うことで、これらの粒子を使用して将来の産業を牽引する機会につながると考えている。われわれは、これがどこにつながるのか、また他の人がこれらのアイデアを使って自分の願望を前進させることができるのか、楽しみにしている」と、スタンフォード大学医学部Sanjiv Sam Gambhir教授(トランスレーショナル・メディスン)で論文の責任著者Joseph DeSimoneはコメントしている。
ロール・トゥ・ロール
これらの研究者が発明した、人間の髪の毛の幅よりも小さい特殊な形状の粒子を大量生産するプロセスは、アセンブリラインを彷彿とさせる。まず、フィルムに丁寧に張力をかけ、CLIPプリンタに送る。プリンタでは、何百もの形状が一度にフィルムにプリントされ、アセンブリラインが移動して形状を洗浄、硬化、除去するが、これらのステップはすべて、関連する形状と材料に基づいてカスタマイズ可能である。最後に、空のフィルムが巻き戻され、プロセス全体にロールツーロールCLIP(r2rCLIP)という名前が与えられる。r2rCLIPを導入する前は、プリントされた粒子のバッチを手作業で処理する必要があり、時間がかかり、手間のかかるプロセスだった。r2rCLIPの自動化により、1日あたり最大100万個の粒子を製造するという前例のない製造速度が可能になった。
これが製造業で聞き慣れた形のように聞こえるなら、それは意図的なものである。
「作れないものは買わない」と、工学部の化学工学教授でもあるDeSimoneは言う。「ほとんどの研究者が使っているツールは、プロトタイプやテストベッドを作るためのツールであり、重要なポイントを証明するためのツールである。私の研究室ではトランスレーショナル・マニュファクチャリング・サイエンスを専門としており、スケールアップを可能にするツールを開発している。これは、その焦点がわれわれにとって何を意味するかを示す素晴らしい1例である。」
3Dプリンティングには、解像度と速度のトレードオフがある。例えば、他の3Dプリンティングプロセスでは、ナノメートルスケールではるかに小さくプリントできるが、速度は遅くなる。そしてもちろん、巨視的3Dプリンティングは、靴、家庭用品、機械部品、サッカーヘルメット、義歯、補聴器などの形で、すでに大量生産の足場を(文字通り)築いている。この研究は、これらの世界の間にある機会を扱っている。
「われわれは、スピードと解像度の正確なバランスを模索している。われわれのアプローチは、専門家が様々な用途に不可欠と考える粒子生産量を満たすために必要な製造ペースを維持しながら、高解像度の出力を生成することができる。トランスレーショナル・インパクトをもたらす可能性のある技術は、研究所の規模から工業生産の規模まで、実現可能なものでなければならない」(Kronenfeld)。
ハードとソフト
研究チームは、r2rCLIPプロセスが他の研究者や産業界に広く採用されることを期待している。さらに、DeSimoneは、3Dプリンティングという分野は、プロセスに関する疑問を乗り越え、可能性についての野心に向かって急速に進化していると考えている。
「r2rCLIPは基盤技術である。しかし、われわれは今、プロセスよりも3D製品そのものに焦点を当てた世界に突入していると考えている。これらのプロセスは、明らかに価値があり、有用になりつつある。ここで問題となるのは、価値の高いアプリケーションとは何かということだ」(DeSimone)。
研究チームはすでに、セラミックスとハイドロゲルで作られた硬質粒子と軟質粒子の両方を製造する実験を行っている。前者はマイクロエレクトロニクス製造に、後者は体内の薬物送達に応用できる可能性がある。
「アプリケーションは多岐にわたり、われわれはまだその探求を始めたばかりである。この技術でここまで来ているのは、非常に素晴らしいことだ」と、DeSimone研究所の上級研究員で論文の共著者であるMaria Dulayはコメントしている。