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ALLS、フェムト秒レーザでガン治療改善

December, 27, 2023, Montreal--François Légaréのチームによる発見は、腫瘍学における放射線療法のより効果的な使用につながる可能性がある。

超短パルスレーザ技術についは、驚きが止まらない。この分野の研究は、一見抽象的に見えるかも知れないが、具体的な応用につながることが非常に多い。これは特にヘルスケアに当てはまり、この技術は特定のガンの治療に使用できる。

このアプリケーションは、先端レーザ光源研究室(ALLS)Institut national de recherche scientifique(INRS)の、Énergie Matériaux Télécommunications研究センタ(EMT Centre)の教授/所長、François Légaréが監督した最近の研究に続くものである。この研究は、マギル大学ヘルスセンタ(MUHC)の医学物理学者との共同研究の成果である。Laser & Photonics掲載された研究は、レビューは、驚くべき結果を示している。高出力レーザーパルスに関する知識、つまり科学界で一般的になっていた知識の特定の側面に疑問を投げかけているのである。

「われわれは、特定の条件下で、周囲の空気にしっかりと集束したレーザビームが、ガンの放射線治療に使用される一部の照射器と同じ大きさのMeV(メガ電子ボルト)範囲のエネルギーに達する電子を加速できることを初めて示した」(François Légaré、INRSEMTセンタ所長)。

周囲の空気中に十分に高い強度のレーザパルスを集束させると、焦点でプラズマが発生することは実証されていた。このプラズマは電子の供給源として機能し、最大で数keVまでのエネルギーに加速できる。最近まで、物理的な制限により、周囲の空気中でより高いエネルギーに到達することは不可能だった。

研究チームは、大気中で加速された電子がMeV(メガ電子ボルト)の範囲のエネルギー、つまりこれまで克服できなかった限界の約1000倍に達することを実証することができた。

より良いがん治療
INRSのEMTセンタのチームが達成したブレークスルーは、医学物理学の大きな進歩への扉を開く。その代表例が、従来の放射線療法に耐性のある腫瘍を治療するための新しいアプローチであるFLASH放射線療法。これは、非常に短い時間(数分ではなくマイクロ秒)で高線量の放射線を照射するために使用できる技術である。これにより、腫瘍の周りの健康な組織の保護が改善される。このFLASH効果は、まだ研究ではあまり理解されていないが、健康な組織の急速な脱酸素化が関与し、放射線に対する感受性が低下するようである。

「FLASH効果の性質を説明できた研究は存在しない。しかし、FLASH放射線治療で用いる電子源は、周囲の空気にレーザを強く集光して作製したものと同様の特性を有している。放射線源の制御が改善されれば、さらなる研究により、FLASH効果の原因を調査し、最終的にはガン患者により良い放射線治療を提供することができる」(Simon Vallières、ポスドク研究員、研究の筆頭著者)。

より安全な取り扱い
この発見は、具体的な意味合いを持っている。まず、周囲の空気にしっかりと集束されたレーザビームを取り扱う場合は、特に注意が必要である。

「観測された電子エネルギー(MeV)は、空気中を3メートル以上、つまり外皮から数㎜以下を移動することができる。これは、レーザ光源のユーザに放射線被曝のリスクをもたらす」とSimon Vallièresは説明している。

さらに、光源付近で測定すると、従来の放射線治療の3〜4倍という高い放射線量率の電子が観測された。

「この放射線の危険性を明らかにすることは、実験室でより安全な実践を行う機会である」(Simon Vallières)。
同氏によると、周囲の空気中での高集束レーザビームの取り扱いは慎重に行う必要があり、科学者は健康に害を及ぼすため、高線量の放射線への曝露を避ける必要がある。