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ベルギー、老化研究のために微小心臓を宇宙に送る

September, 15, 2023, Jacksonville--ベルギーの5つの企業と研究センタがAstroCardiaプロジェクトに協力している。そのプロジェクトで、心臓の健康を改善することを彼らのミッションにしている。また、非常に特別な場所、つまり宇宙でそれを実行しようとしている。
宇宙は、彼らが心臓の老化の研究を改善し、心臓に適した研究モデルを作成することを目的としているところである。そのために、チームは3Dバイオプリンティングを使用して人工ミニチュア心臓と関連する循環器系を開発した。このいわゆる「ハートオンチップ」‘heart-on-a-chip’は、2025年に国際宇宙ステーション(ISS)に送られる。

心血管疾患は、世界で最も一般的な死因の1つである。心血管疾患のリスクは、加齢とともに増加する。しかし、研究者たちは、なぜそうなのかについて、まだ部分的に暗闇の中にいる。科学には、根底にある生物学的プロセスを明らかにするための忠実なモデルが存在しない。ベルギーの5つのパートナー(Space Applications Services、SCK CEN、QbD Group、BIO INX、Antleron)は、適切な研究モデルを開発するために、知識と専門知識を論争いに投入している。そして、彼らは科学者が心臓の老化をよりよく研究できる環境、つまり宇宙でそうする。

われわれの心臓は加齢に伴い変化する。心臓はゆっくりと大きくなり、硬くなり、動脈が石灰化し、ポンプ力が劣化する。宇宙では、ストレス、微小重力、放射線などの要因により、これらの老化プロセスが20倍速く起こる。したがって、宇宙では、われわれは時間をスピードアップする。それによりわれわれは、この地球上では得られない研究成果を得るまたとない機会を手にする。われわれが開発するプラットフォームにより、心臓の老化促進メカニズムの研究が可能になる。この研究は完全に自動化され、遠隔操作できる(Hilde Stenuit)。同氏は、プロジェクトコーディネーター、宇宙応用サービスの研究者。

‘heart-on-a-chip’:3Dバイオプリントされた心臓モデル
生きている人間の心臓とそれに関連するすべてのプロセスを詳細に調べることは事実上不可能。そのため、研究者たちはチップ上にミニチュア心臓をバイオプリントし、その周りに人工循環系を構築する。

この‘heart-on-a-chip’は、心筋細胞がプリントされている数平方ミリメートルのチップ。「インク」は、体内の考えられるあらゆる細胞に成長可能な生体材料と幹細胞で構成されている。細胞は分裂し始め、心臓オルガノイドとして知られる発達中のヒト心臓モデルに自己組織化する。人工循環器系は、心臓が成熟して鼓動し始めるまで、その心臓に刺激、酸素、栄養素を供給する。研究者は、それについてテストを実施できる。主なテストは、国際宇宙ステーションで2025年に実施される。

テストは、heart-on-a-chipデバイスが宇宙に打ち上げられ、少なくとも6週間生き続けたときである。この期間中、それらはリアルタイムでモニタされる。デバイスが地球に戻ると、QbDと原子力研究センタSCK CENの研究者がそれらを詳細に分析する。この宇宙実験により、パートナーは、発達した心臓血管系の宇宙環境への曝露が心臓老化の科学的モデルとして機能可能かどうかを調査したいと考えている。

どうにかチアシード(chia seed)サイズであるミニチュアハートは、人間の対応物を忠実に模擬している。革新的な技術により、心血管疾患をより適切に調査し、いくつかの潜在的な薬をテストすることできる。最大の利点は、患者自身の幹細胞を使用してそれらを個人化できることである。したがって、患者の心臓のミニチュアバージョンを成長させることができる。これは、個別化医療の大きな飛躍を表している。われわれは、ともにそれに向けて取り組んでいる(Dr Kevin Tabury, SCK CEN radiobiology expert)。

原子力研究センタは、このプロジェクトの実験ステージにあるのではない。心臓の老化に対する放射線の影響を長い間研究しており、放射線療法と宇宙探査の両方を背景にして研究してきた。

バイオインク
ミニチュア心臓モデルをチップに3Dバイオプリントするには、特殊な材料が絶対に必要である。これには、マイクロメトリック精度の3Dバイオプリンタ、生きた幹細胞、「バイオインク」が含まれる。ミニ臓器に発達する幹細胞は、プリント可能で一緒に保持されていなければならない。このために、コンソーシアムはベルギーの新興企業BIO INXの専門知識を頼りにすることができる。

それと、レンガ積み上げて壁を作ることと比較してみる。幹細胞はレンガ、バイオインクは乳鉢。バイオインクは一種のゲルであり、細胞をプリント可能にし、プリンティング中およびプリンティング後に残存可能である(Jasper Van Hoorick, CEO at BIO INX)。

技術的な驚異
人工循環器系は、AstroCardiaのパートナーとR&D会社のAntleronが開発すると直ちに、技術的な驚異となる。

このプロジェクトから、心臓オルガノイドの生理学に関するいくつかの貴重な洞察が得られる。したがって、そのミニチュア心臓をプリントするチップが宇宙の極限状態に対処できることが極めて重要である。われわれの知識でそれに貢献できることを光栄に思っている(Jan Schrooten, CEO of Antleron)。

このプロジェクトでは、地平線の向こう側を見据えている。今日われわれはすでに、社会が明日直面する問題に関心を持っている。健康な心臓は、現在心血管疾患に苦しんでいる人だけでなく、宇宙を探索する健康な宇宙飛行士にとっても重要である(Martijn Reniers, CIO at QbD Group)。

(詳細は、https://astrocardia.com/)