鼓動する心臓の血管をイメージング

July, 5, 2023, Paris--心臓移植を成功させるために、提供心臓の先天性異常をスクリーニングすることが重要である。生体外心臓灌流(ESHP)と言う保存技術により医者は、体外のこれらの心臓のパフォーマンスを観察し､問題があるものを除外することができる。とは言え、侵襲的冠動脈造影、冠動脈疾患を診断するためのゴールドスタンダードをESHP中に実施すると、心臓を損傷し、移植の失敗につながる。

フランスの研究チームは、光技術を使ってESHP中に提供心臓の冠状動脈の血液循環をイメージングを報告している(J. Biomed. Opt., doi: 10.1117/1.JBO.28.4.0I cr46007)。スペクルイメージング技術と後処理法を適用することで研究チームは、鼓動する心臓で、血管の微細構造を100µmオーダーまでリアルタイムで観察できたとしている。

イメージングと処理
冠動脈造影法は、造影剤とX線を使って、動脈の血流を可視化する手順である。その方法は、高いコントラストと空間分解能に好まれるが、ESHP中にに造影剤の蓄積により心臓合併症、動脈壁の裂け目や感染の原因にもなる。

代替アプローチとして研究チームは、以前に開発された方法、Laser Speckle Orthogonal Contrast Imaging (LSOCI)(レーザスペクル直交対比イメージング)を選んだ。これは、表面散乱がカメラに到達するのを防ぐ旋光フィルタリングプロセスを使う。したがって、時間と共に変わるスペクルパタンが、主に、動く赤血球細胞の多重散乱によって確実に生成されるようになる。最新論文では､研究チームは、この技術を適用して、心筋の微小血管を観察した。

チームは、最初、785-nmレーザと偏光カメラをブタの心臓に覆い被さるように多関節アームに搭載した。心臓は、酸素を十分に含んだ血液が灌流されていた。研究チームは、外部のペースメーカーを使って心臓の鼓動を1分当たり80に保った。チームは、次に、レーザとカメラを使って、素早く変化するスペクルパタンを生成、イメージングした。

心臓が鼓動している間に血管を観察できるようにするためにチームは、(多重周期強化信号対雑音比)Multi-Period-Enhanced Signal-to-Noise Ratio (MPE-SNR)と言う方法でLSOCIをさらに改善した。チームは最初に、複数の心臓周期で鼓動する心臓の一連の画像を記録した。次に、各サイクル内の同じまた隣接する時間的位置で研究チームは、心臓およびその血管があまりに動き過ぎるフレームを除去した。結果として、そのプロセスで残ったフレームだけを考慮して、研究者は、高SNRで血管系を可視化する新しいシーケンスを作ることができた。

普及拡大
最後に、LSOCIとMPE-SNRの組合せにより研究チームは、高い空間分解能で、鼓動する心臓の完全な抹消血管系を数秒で非侵襲的イメージングができるようになった。

研究チームは、実験セットアップの簡素が、様々な外科手術､周期的な血流を示す人間の動脈系における他の現象をモニタリングするために、それの普及拡大に役立つと指摘している。