October, 29, 2014, Tokyo--三菱重工業は、レーザ加工機事業の製品第一弾となる微細レーザ加工機「ABLASER」を開発した。
同社によると、この加工機は、独自の精密光学系ヘッドなどを駆使したことにより、各種穴あけをはじめとする精密加工を高速・高精度に行うことができる。今年度内に販売活動を始め、さまざまな加工現場へのソリューション提案を通じて幅広い需要を開拓する。
ABLASERは、パルス幅が10ピコ秒(ps)以下の短パルスレーザ光を連射する高品質なレーザ発振器を採用。精密なレンズやプリズムなどを使ってレーザ光を自由に屈折させたり回したりできる光学系の集光ヘッドを搭載している。高いピーク出力で加工部分をアブレーション(Ablation)させることで、加工面への熱影響を抑制。穴あけでは放電加工を上回る寸法精度を確保し、穴の内径が円錐状に下部ほど広がっている逆テーパ穴や球状穴、楕円球状穴など難しい加工も短時間でできる。
主要構造物には熱変位が少なく防振効果の高いグラナイト(花崗岩)を使い、位置決め機構に精密スケールを搭載することで、従来のレーザ加工機を超える加工精度を達成している。さらに、先端工作機械と同じく5軸制御方式を採用したことにより、曲面形状や複雑形状に対する加工も容易になった。
三菱重工は、2014年4月、レーザ加工機事業への本格参入に向け、工作機械事業部のソリューション技術センターに、世界トップ水準の関連技術を集め、独自のレーザ加工機をワンストップで開発する体制を整備した。ABLASERは、この体制のもと、各ドメイン・事業所や技術統括本部・研究所との連携により製品化された。
三菱重工は、10月30~11月4日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2014 第27回日本国際工作機械見本市」でABLASERの実機を展示。穴あけなどの加工サンプルも紹介し、ものづくり現場に対する新しい提案を行う。
同展では併せて、空中放電を利用するアーク溶接と一点集中のレーザ溶接を同軸化することで高い仕上がり精度を実現する「ハイブリッドレーザ溶接システム」や、光学系により高能率・クリーンな切断を実現する「高能率レーザ切断ヘッド」など、これまで開発した独自のレーザ関連技術も紹介する。