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市販LED照明をX線放射線環境下で使用可能に

July, 6, 2022, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センターSPring-8改修検討グループの田中均グループディレクター、高輝度光科学研究センター加速器部門の渡部貴宏部門長、量子科学技術研究開発機構次世代放射光施設整備開発センターの西森信行グループリーダーらの共同研究グループは、X線による放射線環境下でLED照明が故障する過程を詳しく調べ、このような特殊環境下においても市販のLED照明を安定に長寿命で使用できる方法を見いだした。

研究成果は、3GeV次世代放射光施設だけでなく、大型放射光施設「SPring-8」や世界中の同様の施設のグリーン化に貢献すると期待できる。

加速器トンネル内は強い放射線にさらされ、LED照明が短期間で故障することから、従来の蛍光灯からLED照明への置き換えが進んでいなかった。

今回、共同研究グループは、SPring-8ならびに理研放射光科学研究センターのX線照射装置を用いて、X線照射によりLED照明が故障する過程を詳細に調べた。すると、LED照明の駆動電源部のMOSFET[5]が壊れて故障すること、しかもMOSFETは放射線による直接損傷ではなく、熱暴走による高温により壊れることが分かった。この結果から、LED照明の駆動電源をトンネルの外に移設する、もしくは熱暴走を起こさないように使用時のみ照明をオンするという簡単な対策により、高効率で高い信頼性を備えた市販のLED照明が使用できることが明らかになった。

研究成果は、科学雑誌『Japanese Journal of Applied Physics』オンライン版(7月1日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)