October, 27, 2021, 東京--凸版印刷株式会社(凸版印刷)は、ガラス製マイクロ流路チップのフォトリソグラフィ工法による製造技術を開発した。
フォトリソグラフィは、凸版印刷が60年におよぶエレクトロニクス事業を通じて培ってきた基幹技術で、半導体回路原版や液晶ディスプレイなどの微細加工に用いられている。この技術を用いたマイクロ流路チップの量産が実現すると、現在一般的なポリジメチルシロキサン(シリコーン樹脂の一種、PDMS)を金属製の型に注入する射出成形技術で作られるチップと比べ、大量生産と低コスト化が可能になる。
この技術で製造されるマイクロ流路チップは、がん検診や臨床検査などでの高い需要が見込まれるリキッドバイオプシー(血液など少量の体液を採取して行う身体への負担が少ない診断技術)分野や体外診断薬分野での使用が見込まれる。
製品の特長
① 深さ50μmの流路形成が可能
血液や細菌、細胞などを分析する用途向けのマイクロ流路デバイスでは、深さ50μm程度の「深い溝」を必要とするケースがある。凸版印刷は、フォトレジストの組成や露光プロセスを見直すことで、幅広い分析用途向けに最適な流路のデザインを提供することを可能とした。
② 大型ガラス基板への多面付けによる大量生産、低価格化の実現
スマートフォンやタブレット、PCなどのデジタル機器向け液晶カラーフィルタ向けの製造装置を使用することで、大型のガラス基板上にマイクロ流路チップを「多面付け」して生産することが可能。
今後の目標
凸版印刷は、今回試作に成功したガラス製マイクロ流路チップの実用化に向けた実証実験をパートナー各社と行い、フォトリソグラフィ法による量産化技術を2022年3月を目途に確立、製品化に取り組む。
(詳細は、https://www.toppan.co.jp)