July, 12, 2021, 阿南市--日亜化学工業株式会社は、高圧ナトリウムランプの代替となる照明器具を実現できるLED(型番名:NVSW219F/1800K/R70)をラインアップした。
この10年ほどで照明分野では、蛍光灯を中心に光源のLED化は着実に進展し、そのことによって、環境面から見ると脱水銀化が進んでいる。また、水銀ランプも水俣条約による規制のために、今年から、その大部分の製造、輸出入が禁止され、脱水銀化は更に前進している。
しかしながら、水銀を含んでいても水俣条約の適用除外とされている光源もある。その代表例が、かつてトンネル灯に多く使われていたオレンジ色を灯す高圧ナトリウムランプ。近年、道路灯では高圧ナトリウムランプのLED化が進んでいるが、高圧ナトリウムランプの本来持つオレンジ色が重視される次のような用途では積極的なLED化が行われていない。
・白っぽいあかりによって虫が寄り集まることを避けたい農道やコンテナヤード
・昔ながらの景観を大事にしている町並み保存地区など
高圧ナトリウムランプは、現在残っている水銀を含む照明器具の中で最も数が多くLED化が待ち望まれていた。今回、高圧ナトリウムランプと同じ発光色(1800K)のLEDを日亜219Fシリーズのラインアップに加えることで、上記の障壁が取り除かれ一気にLED化が加速し、脱水銀の動きも前進するものと予想。また、今回ラインアップした新しいLEDは、高圧ナトリウムランプと同じ発光色でありながら、同時に、日亜独自の蛍光体技術を用いて演色性の大幅な改善を実現。高圧ナトリウムランプは演色性が低く色の区別が付きにくいのが欠点の1つ。しかし、日亜の新しいLEDで代替することにより、街路灯の下を通る人の服や車の色がはっきり区別できるようになり、モノトーンだった街並みをカラーにすることができる。このことは生活に快適さをもたらすと同時に、保安、防犯上の効果も期待される。
さらに、高圧ナトリウムランプがLEDに置き換わることにより、照明の長寿命、高効率、脱水銀化の推進に加えて、スマート照明と組み合わせることで使い方の可能性が大きく広がる。高圧ナトリウムランプの場合、点灯に10分から最大30分程度(再点灯時)の時間を要するが、LEDの場合、即時点灯・消灯や調光が可能となる。これにより、センサ機能と連動させて調光することで、車や人が近づいたときのみ照明を必要な照度まで明るくし、それ以外は最低限の明るさを保持あるいは消灯することが可能となり、更なる省エネやCO2の削減、光害の低減が期待される。
また、1800Kの生み出すオレンジ色の柔らかい光は、夜空を暗く保ち星空を守るとともに、まぶしすぎる街路灯のそばに住む近隣住民が直面している安眠妨害の問題の解決、ウミガメなど動植物の保護にもつながると考えられる。
NVSW219F/1800K/R70は、2021年9月から量産出荷の予定。
(詳細は、https://www.nichia.co.jp)