September, 10, 2020, Dresden--今までは、赤外レーザを使って純銅を完全に溶かして3Dプリンティングで層ごとに複雑な形状を作るのは不可能だった。フラウンホーファー(Fraunhofer Institute for Material and Beam Technology) IWSは、新しい積層造形システムを利用している。これは,短波グリーンレーザで純銅をほぼ欠陥なしに加工する。
純銅では以前は実現不可能だった新しい製造アプローチが可能になっている。したがって、純銅や銅合金でできた複雑なコンポーネントを航空宇宙や自動車産業向けに作製でき、電子モーターや熱交換器の効率を高めることができる。
フラウンホーファーIWSは、優れた電気および熱伝導性純銅コンポーネントを設計できる。これらコンポーネントは、より効率的な電気モーターやパワーエレクトロニクスの新しいヒートシンクを可能にする。さらに、コイルや誘導子製品アプリケーションが考えられる。積層造形された銅コンポーネントは、特に設置スペースが小さく、高効率、高性能でコンパクトなデバイスに適している。例えば、将来のパワーエレクトロニクスの効率的でコンパクトなヒートシンク、サテライト用の特殊個別コイル、宇宙推進システムの冷却システム、その他多くの部品が製造できる。
匹敵するシステムは少ない
新しいレーザビーム溶融システムは、Saxonyでは独特である。1064nm波長赤外レーザの代わりに、同システムは、515nm波長の高エネルギーグリーンのディスクレーザを利用する。「以前の実験は、500Wまでの赤外レーザビーム光源が銅を完全に溶かせないことを示した」とプロジェクト監督、Samira Gruberは話している。使用したエネルギーの30%しか銅材料にとどかない。残りは、その金属に反射される。500Wの新しいグリーンレーザのソリューションは違っている。ここでは,銅粉末が使用されたエネルギーの70%以上を吸収し完全に溶かす、つまり積層造形アプリケーションが可能になる。
純銅は熱と電気を特に良く伝導する
銅は熱と電気をよく伝導するので、この金属が積層製造システムで加工されると大きな改善になる。「純銅や銅合金でできたコンポーネントが、航空宇宙、エレクトロニクス、自動車産業で重要な役割を果たす。例えば、電気駆動、熱交換器」とフラウンホーファーIWS積層造形部長、Elena Lopezは強調している。「積層造形で製造された銅部品は、体積特化導電率が高いために、多くのアルミニウムソリューションよりも優れている。小さな設計や高性能が要求されるところでは、これは特に関心が高い」。現在、多くの銅部品が、すでに加工、鍛造、鋳造できる。しかし、積層造形プロセスの導入は、従来の製造では不可能な、非常に複雑な形状の作製に新たなオプションを開く。
Samira Gruberは、「形状柔軟性の増加が銅コンポーネントの冷却能力の増強見込を拡大する。これは,利用できる導入スペースを適切に使用し,冷却されたコンポーネントの耐用年数を拡大するからである」と説明している。冷却チャネルは、ガスあるいは液体が可能な限り少ない圧力損失で流れ、複雑なフィン形状が熱吸収表面エリアを増やすように設計されている。
新しいフラウンホーファーIWS装置は、「スマートプロダクションと材料」パフォーマンスセンタにより実現された。グリーンレーザを装備した“TruPrint1000”は現在、“Additive Manufacturing Center Dresden” (AMCD)に設置されている。IWSエンジニアとTU Dresdenの研究者は、このセンタで協働して、積層造形技術のさらなる開発に取り組んでいる。
(詳細は、https://www.iws.fraunhofer.de)