June, 11, 2020, University Park--Penn State, University of Minnesotaと日本の2大学(東京大学、東北大学)の研究者によると、コロナウイルスを殺すことでエリアを殺菌する高強度UV光を出力するパーソナル、ハンドヘルドデバイスが実現可能になった。
バクテリアやウイルスからエリアを消毒、殺菌するために一般に用いられる方法は2つ。化学薬品、あるいはUV放射のいずれかの利用である。この放射は、200~300nmの範囲で、ウイルスを破壊することで知られている、つまり再生、感染できなくする。この効率的なUVアプローチの普及が世界的なパンデミックの現状では強く求められているが、それには、十分な高用量を出力するUV放射源が必要になる。そのようなデバイスは現在、存在するが、そのUV放射源は、一般に高価であり、水銀を含むガス放電灯である。これはハイパワーを必要とし、相対的に寿命が短く、サイズが大きい。ソリューションは、高性能UV発光ダイオード(LEDs)の開発である。これができると、可搬性は著しく高まり、長寿命、エネルギー効率がよく、環境的にも無害である。このようなLEDsは存在するが、発光のためにそれに電流を印加するのは、電極材料がUV光に透明でなければならないので、複雑になっている。
可視光ディスプレイ、スマートフォン、LED照明で動作する透明電極材料を見つけるのは長期にわたる難題だったが、UV光ではもっと難しい。
ペンステートの材料科学・工学Ph.D候補、Joseph Rothは、「UV透明電極用の適切なソリューションは、現在、存在しない。現状、可視光アプリケーション用に一般に利用されている材料ソリューションが用いられている。ただし、UV範囲では吸収が多すぎる。確認できるUV透明導電材料に優れた材料の選択肢は存在しない」とコメントしている。
適切な組成の新しい材料を見つけることは、UV LED性能の向上の決め手になる。ペンステートのチームは、ミネソタ大学の材料理論家と協力して、その問題のソリューションが最近発見された新しい透明伝導帯に見つかる可能性を早い時期に認識していた。理論予測がニオブ酸ストロンチウム材料を指摘した時、研究者はニオブ酸ストロンチウム膜を受け取るために日本の協力者に接触し、すぐにUV透明伝導体としてのその性能をテストした。これらの膜は、理論予測で有望性が示されているが、これらの膜をスケーラブルな方法で集積する堆積法を見つける必要があった。
Rothは「標準的な膜成長技術、産業で広く採用されているスパッタリングを使い、これらにの膜を成長させた」と説明している。
これは、技術成熟への重要な一歩である。それによりこの新しい材料が、低コスト、高品質でUV LEDsに組み込めるようになる。
「UV透明伝導体開発の最初の同期は、水殺菌への経済的なソリューションの構築だったが、われわれは今、このブレイクスルー発見が、ビルのHVACシステムで供給されるアエロゾルでCOVID-19を無力化するソリューションとなる可能性を認識している」とRothは説明している。ウイルス殺菌の他のアプリケーションエリアは、劇場、スポーツアリーナ、公共交通機関、バス、地下鉄、航空機など、人口密集地である。
研究成果は、Physics Communicationsに発表されている。
(詳細は、https://www.mri.psu.edu)