January, 10, 2020, Washington--イタリアの研究チームは、量子光を使って酵素反応をリアルタイムで追跡できることを示した。その研究は、量子物理学と生物学をまとめてバイオメディカルアプリケーションに向けの量子センサ開発に重要な一歩を進めるものである。
酵素として知られる複雑な分子は、体内の多くのプロセスに反応する。しかし、光学的アプローチでそれを研究するのは難しい。光が多すぎるとその活動が低下したり、全く止まったりするからである。
Optics Expressでは、学際的研究グループが、シングルフォトン、つまり量子的に制御された光レベルにより、酵素の活動を乱すことなく正確な計測が可能になることを示している。
「実用的な量子センサが実現するまでに数年かかったかも知れないが、この種の原理証明実験は重要である。他の領域との共有知識を形成するエリアを示すために役立ち、前進のために技術的進歩が必要とされているところが明らかになる」とイタリアUniversità degli Studi Roma Treの研究チームリーダー、Ilaria Giananiは説明している。
シングルフォトン制御
生物分子を研究するときには、その特性、挙動を変える可能性のある光のレベルの使用を避けることが重要である。これの達成は難しい。ローレベルの光ではほんど情報は得られず、ノイズが簡単に弱い信号に打ち勝つからである。今日、光でサンプルを損傷することを避けるために、主要サンプルから集めた分析試料の計測により酵素は研究されている。この手順は時間がかかるだけでなく、リアルタイムで酵素の直接的観察ができない。
研究チームは、極めて正確に、シングルフォトンレベルで光を制御できるセットアップを開発することで、この問題を克服した。これにより、酵素を攪乱することなく、低照射を利用することができるようになり、よりすぐれた感度が達成可能になった。直接サンプルに対処できることで、一段と高い分解能で動的追跡も可能になった。
「われわれの成功のカギは、量子物理学者と生物学者との協働であった。量子物理学者はフォトンの扱い方を知っており、生物学者は生物学的システムの扱い方を知っている」とGiananiは言う。「最初はアイデアの交換は難しかったが、最終的にチームは一つになり、作業の滑らかな進捗に役立つ共通言語が生まれた。Quantum Optics Groupの主席研究者、M. Barbieri教授の指揮がなかったらこの協働は可能ではなかった」とGiananiは話している。
酵素活性度の追跡
研究チームは、インベルターゼとして知られる酵素の活性による蔗糖液のキラリティの変化を追跡するためにその新しい技術を使った。キラリティの追跡、光の偏向を回転させる所定の分子の能力は、酵素によっていくつの蔗糖分子が処理されたかを判断するために使用可能な情報を提供する。実験は、サンプルを.乱すことなくリアルタイムで酵素活性度をプローブするために量子光を使えることを示した。
Giananiは「この実験は、量子センサに何ができるかの一例にすぎない。無数のアプリケーションに光を最も有利に利用するために量子センサを使うことができる、生物イメージング、磁場センシング、重力波の発見にさえも利用できる」と話している。
研究チームのアプローチが、酵素反応追跡の主力方法になるまでに対処すべき技術的側面がいくつかある。例えば、光損失は強力な制限要因になる。しかし、研究チームは、今回の研究成果が、この問題に対処する技術開発促進に役立つと考えている。