October, 23, 2019, Zurich--ETH研究チームは人工知能(AI)を使い、比較的新しいバイオメディカルイメージング法によって記録された画像品質を改善する。これは、より正確な診断とコスト効果の優れたデバイスへの道を開く。
ETH-Zurichとチューリッヒ大学の研究チームは、光音響イメージングを改善するためにマシンラーニング法を利用した。この比較的新しい医療イメージング技術を血管の可視化、脳活動の研究、皮膚病変の特性評価、乳ガンの診断などのアプリケーションに使用できる。しかし、提供画像の品質は、デバイスに使用されているセンサの数と分布に大きく依存する。センサが多ければ多いほど、画像品質はますます良くなる。ETH研究チームが開発した新しいアプローチでは、結果としての画像品質を犠牲にすることなくセンサの数を大幅に減らすことができる。これによりデバイスコストを下げ、イメージング速度を高め、診断を改善することができる。
光音響学は、ある点では、超音波イメージングに似ている。超音波イメージングでは、プローブが超音波を体内に送り、組織によってそれが反射される。プローブのセンサは、戻ってくる音波を検出し、続いて体内の画像が生成される。光音響イメージングでは、極短レーザパルスを組織に送り込み、そこでパルスが吸収され、超音波に変換される。超音波イメージングと同様、その波が検出され、画像に変換される。
画像歪の補正
チューリッヒ大学とETH-Zurich、バイオメディカルイメージング教授、Daniel Razanskyのチームは、少数の超音波センサしか搭載していないローコスト光音響デバイスの画像品質を高める方法を探していた。
これを実現するために、512のセンサを持つ自己開発ハイエンド光音響スキャナの利用から始めた。これからは超高品質の画像が得られた。研究チームは、高品質画像から学習することができるアーティフィシャルニューラルネットワーク(ANN)によりこれらの画像を分析した。
次に研究チームは、センサの大半を捨て、128または32しかセンサが残らないようにし、画像品質に有害効果が出るようにした。データ不足から、画像にストリークタイプ作用として知られる歪が現れた。しかし、前にトレーニングしたニューラルネットワークが、これらの歪を概ね補正できることが分かった。したがって、画像品質を、512センサ全てによって得られた計測に近づけることができた。
光音響学では、画像品質は、使用されるセンサの数で向上するだけでなく、可能な限り多くの方向から得られた情報によっても改善される。対象物の周囲に配置されるセンサで領域が大きければ大きいほど、品質が向上する。開発されたマシンラーニングアルゴリズムは、非常に狭い範囲の領域から記録された画像の品質向上にも成功した。「これは臨床アプリケーションでは特に重要である。レーザパルスは、人体全体に浸透できないので、イメージングされる領域は、通常、1方向からしかアクセスできないからである」とRazanskyは説明している。
臨床的判断の促進
研究チームは、そのアプローチが光音響イメージングに限られないことを強調している。その方法は、生データではなく、画像再建に効果があるので、他のイメージング技術にも適用可能である。「どんな種類の疎データからでも高品質画像生成は、基本的に同じ方法である」とRazanskyは言う。同氏の説明によると、医者は患者からの低品質画像の解釈問題に直面することがよくある。「そのような画像は、AI法で改善可能であることをわれれは示している。それにより、一段と正確な診断に容易に到達できる」。
Razanskyによると、この研究は、AIの既存方法が使用できるものの好例である。「多くの人々は、AIは人知に取って代わると考えている。これは恐らく誇張である、少なくとも当座利用可能なAI技術では誇張だ。それは人の創造性に取って代わることはできないが、骨の折れる反復作業から、ある程度われわれを解放する可能性はある」と同氏はコメントしている。
現在の研究では、研究チームは、光音響トモグラフィ機器を小動物にカスタマイズして使用している。また、マウスからの画像でマシンラーニングアルゴリズムを訓練している。次のステップは、その方法を人間の患者からの光音響画像に適用することでる。
(詳細は、https://ethz.ch/)