July, 30, 2019, Dresden--現在のOLED研究は、特に白色OLEDの性能向上が焦点になっている。これは、天井、車内照明などの照明用である。これらのコンポーネントは、安定性、放射角、パワー効率など非常に厳しい要件に従う。
発光ダイオードは単色光しか出力しないので、メーカーは、白色光を生成するために様々な付加的色混合プロセスを利用する。
1990年代に白色OLEDが初めて開発されてから、様々な取り組みにより、バランスのとれた白色スペクトルと高発光効率が実用的な輝度レベルで達成された。とは言え、付加的出力結合技術を用いない白色OLEDの外部量子光率(EQE)は、現在20~40%に過ぎない。生成された光粒子(フォトン)の約20%は、デバイスのガラス層に捕らわれたままである。この理由は、ガラスと空気との間の界面における粒子の全反射である。より多くのフォトンは有機層で導波されるが、他のフォトンは究極的に上部金属電極への界面で失われる。
OLEDからこのトラップされたフォトンを取り出すために多くのアプローチが検討された。ドレスデン工科大学Dr. Simone Lenkと Sebastian Reineke教授をリーダーとする国際研究チームが、光粒子を解放する新しい方法をNature Communicationsに発表した。
物理学者は、ランダムな方向性、寸法オーダーのあるナノ構造を制御可能にするために、容易で、スケーラブル、特にリソグラフィフリーの方法を導入し、白色OLEDの効率を大幅に増強する。ナノ構造は、反応性イオンエッチングで作製される。これは、ナノ構造のトポグラフィが、プロセスパラメータを調整することで特別に制御できるという利点を持つ。
得られた成果を理解するために研究チームは、OLEDの増加した効率の説明に使える光学モデルを開発した。これらのナノ構造を白色OLEDに統合することで、最大76.3%の外部量子光率達成が可能である。
Dr. Simone Lenkによると、その新方法は多くの新たな道を開く。「これまで長年、ナノ構造を特別に操作する方法を探求してきた。反応性イオンエッチングによりわれわれは、大型表面にも使え、産業用途にも適した、コスト効果の優れたプロセスを見いだした。この利点は、ナノ構造の周期性と高さが、プロセスパラメータによって完全に調整でき、したがって白色OLEDのための適切な出力結合構造が明らかになったことにある。この準周期的なナノ構造は、OLEDの出力結合構造だけでなく、オプティクス、生物学、機械学で、さらなる応用の可能性がある」と同氏は話している。