January, 15, 2019, Seoul--Xenos peckii(アシナガバチの内部寄生虫)の視覚系は、ほとんどの昆虫の複眼と異なり、高感度で高解像度という明確な利点を示している。その独特の特徴を利用してKAISTチームは、超薄型デジタルカメラを開発した。これは、Xenos peckii固有の眼を模倣したものである。
超薄型デジタルカメラは、既存のイメージングシステムと比較してスリムなボディで、広い視野、高解像度を実現する。それがサポートするアプリケーションは多様であり、例えば、モニタリング装置、医療イメージング機器、モバイルイメージングシステムなどがある。
バイオ・ブレイン工学部のKi-Hun Jeong教授と同教授のチームは、生物視覚器官の模倣で知られている。チームの過去の研究には、蛍の腹節、生物からヒントを得た反射防止構造をベースにしたLEDレンズがある。
近年、電子および光学機器微小化により、超薄型デジタルカメラの要求が強くなっている。しかし、ほとんどのカメラモジュールは、光学収差を補償するために光軸に沿って複数のレンズを使用するので、デジタルカメラの体積が大きくなり、総トラック長が厚くなる。これらのモジュールのサイズと厚さを単純に減らすと、解像度と感度で妥協することになる。
この問題に対処するために、研究チームは、マイクロ光コンポーネントを開発した。これはXenos peckiiの視覚系からヒントを得たもので、開発した光コンポーネントとCMOSイメージセンサを組み合わせて、超薄型デジタルカメラを実現した。
この新しいカメラは、厚さ2mm以下、数10のマイクロプリズムアレイとマイクロレンズアレイを使い、Xenos peckiiの目を模倣している。マイクロプリズムとマイクロレンズペアは、チャネルを形成し、チャネル間の光吸収媒体は、光学収差を低減する。各チャネルが、わずかに異なる方向で部分画像を撮り、読み出された部分画像を統合して単一の画像にする。これによって、広い視野と高解像度が保証される。
Jeong教授は、「われわれは、超薄型カメラを製造する新しい方法を提案した。マイクロカメラを従来のCMOSイメージセンサアレイに統合した超薄型カメラは、初めて昆虫からヒントを得たものである。われわれの研究がオプティクスや関連分野に大きな影響を与えると考えている」とコメントしている。
研究成果は、Light: Science & Applicationsに発表された。
(詳細は、https://www.kaist.ac.kr)