January, 7, 2014, Washington--新しいハンドヘルド光学機器で眼病を検出することができる。
このツールは、ハンドヘルドビデオカメラ程度のサイズで、わずか数秒で患者の網膜全体を走査し、糖尿病性網膜症、緑内障、黄斑変性を含む多くの網膜疾患の早期発見で医師の初期治療を支援する。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、眼科スクリーニング手法について発表している。
同様の技術を用いたハンドヘルド機器は他の研究グループや企業も開発しているが、この新しいデザインでは超高速3Dイメージング、スキャニング用微小MEMSミラー、患者の不注意による動きを修正する技術が初めて統合されている。研究グループによると、これらの革新技術により臨床医は1回の計測で包括的なデータを収集することができる。
通常、網膜疾患の診断では、眼科医、検眼医はテーブルトップの装置で患者を診断しなければならない。しかし、専門医を定期的に訪れる患者はほとんどいない。目の健康に関して一般からのアクセスを改善するためにMITのグループはエアランゲン大学(University of Erlangen)、Praevium/Thorlabsと協力して、院外に持ち出せる可搬機器を開発した。
このポータブル機器は、MITグループと提携機関が1990年代初めに開発したOCT技術を用いている。この技術は、赤外光ビームを目に入射し、網膜を照射する。この光の反射が戻ると、干渉計を使って時間遅延の変化を計測し、網膜の組織構造の断面が分かるようになっている。テーブルトップOCTイメージャは眼科では標準的治療になっており、現行世代のハンドヘルドスキャナは初期症状のイメージングや網膜手術のモニタリングに使用されている。
研究グループは、OCTイメージングビームの走査にMEMSミラーを用いることで大型の機器をポータブルサイズに縮小することができた。2つのデザインのテストを行ったが、その1つはフラットスクリーンディスプレイを備えたハンドヘルドビデオカメラと同等サイズ。テストでは、この機器が、眼科医が使用している従来のテーブルトップOCT装置に匹敵する品質の画像を取得できることを示した。
ハンドヘルド機器の動作不安定性への対処では、この装置は異なる方向から何度も眼を走査し複数の3D画像を高速で取得する。網膜の同じ部分の3D画像を複数使用することで、オペレータの手や患者の目の動作による歪を補整することができる。次は、臨床状況でこの技術を評価する段階であるが、この装置はまだ相対的に高価であるので、この技術が臨床現場で使用されるようになる前にメーカーはコストダウン策を考えなければならない。
MITの研究者、James Fujimoto氏によると、眼病に罹っている人々は取り返しのつかない失明に至るまで眼病に気づかないことが多い。何らかの視覚症状が現れる前に検出して治療すべき眼病が多いので、スクリーニング技術は重要である。例えば2003年、カナダで約25000人を調べたところ、15%程度が眼病に罹っていることが分かった。しかし、視覚症状はなかった。
将来的に、ハンドヘルドOCT技術は眼科以外の多くの他の分野で利用されるようになるとFujimoto氏は見ている。例えば、手術の助言から軍事医学までの用途が考えられる。
(詳細は、 www.osa.org)