February, 21, 2014, Washington--米国海軍研究試験所(NRL)の研究者は、GaInN/GaN, AlGaN/GaN, およびAlInN/GaN量子井戸ベース、グリーン、ブルー、UV LEDの効率を大幅に高める方法を提案した。このアプローチによって、個体照明、低閾値レーザ、ハイパワーLEDが大きく前進する。
優れたパワー、効率、パフォーマンスのLEDやレーザダイオード実現では、量子井戸成長におけるエピタキシャルの完全性が決め手になっている。GaInN/GaN, AlGaN/GaN, およびAlInN/GaN量子井戸ベース三元Ⅲ族LEDは現在、エネルギー効率がよい装飾的な固体照明用途で普及している。しかしハイパワーアプリケーションでの利用は、適度の電流でも効率が大きく落ちることが障害になっている。LEDの量子効率は、相対的に低い電流(数10A/㎝2)でピークに達し、続いて電流が増えるにともない徐々に落ちて約1/2になる。この効率の「ドループ」(低下)は、可視、青、UV領域で見られる。
NRLの計算材料科学センタの研究者は、イスラエルのTechnion、ロシアのIoffe Physical-Technical Instituteの研究者と協力して、観察されたドループ効果は、注入キャリアの非発光オージェ再結合によるものであることを示す計算モデルを作成した。オージェ再結合率はキャリア濃度の3乗に比例する。結果的に、非発光オージェ崩壊率は電流密度とともに急速に増加し、光の発生を抑えつけてしまう。
このような非発光オージェプロセスを抑制するためには、ソフトな閉じ込めポテンシャルを持つ量子井戸を作製する必要がある。NRLの材料科学&技術部門のシニア研究員、Dr. Alexander Efrosは以前、静電位を弱くすることでキャリアが非発光オージェプロセスに必要な勢いを得るのを防ぎ、したがってオージェ崩壊率を抑制できることを理論的に示した。このコンセプトは、2013年3月にNRLの特許になっている。NRL-Technion-Ioffe研究チームによる最新の計算は、成長方向に沿って合金組成を変えて閉じ込めポテンシャル弱めることで、通常GaN/AlN QWsにおける非発光オージェプロセスを強めるピエゾ電界を完全に抑圧できる。計算が示すところでは、そのような量子井戸におけるドループ効果は大幅に、もしくは完全に抑圧できる。
(詳細は、 www.nrl.navy.mil)