March, 4, 2014, Delft--TU Delftの研究チームは、次世代の高効率、優れたコスト効率、超薄型結晶シリコン太陽電池実現の道を開いた。研究チームは世界で初めて、広い光スペクトラムで吸収増大(光トラッピング)の理論限界に極めて近い成果をあげた。
TU Delft(デルフト工科大学)の太陽光発電材料とデバイス(PVMD)グループPhD学生、Andrea Ingenitoは、薄い半導体材料で光吸収増大の理論限界を実験的に実証した。同氏は、結晶シリコンのウエハを使い、半導体材料の最大光吸収増大の理論予測を実験的に証明した。世界で初めて、広いスペクトラム領域で吸収増大の理論限界に極めて近い(99.8%)成果をあげた。太陽電池の吸収増大限界の実験的実証は、過去30年にわたり非常に難しかった。
研究チームは、結晶シリコンウエハ用に最先端のメタルフリー光トラッピング配列を開発することに成功。シリコンウエハの前面に、ブラックシリコンとして知られるナノテクスチャを適用。後側には、フォトニック誘電体後方反射器(Dielectric Back Reflector)で覆ったランダムピラミッド構造を実装。Dielectric Back Reflectorは、全方向最大反射率となるように設計されている。35μm厚のウエハでは、400~1200nmの広いスペクトラム範囲で理論的古典吸収限界の99%以上(フォトニックリフレクタ)、最大99.8%(Ag後方反射器)を達成した。
結晶シリコン太陽電池でTU Delftの光トラッピングスキーム実装成功には、フロントナノ構造の十分な表面パッシベーションが必要となる。この目的で、PVMDグループの研究者は、熱シリコン酸化、アルミ酸化パッシベーション層を開発した。TU Delftのトラッピング配列と優れた表面パッシベーションを組み合わせることで、次世代の高効率、高コスト効率、超薄型結晶シリコン太陽電池実現に道が開ける。
(論文は、ACS Photonicsに発表)