May, 10, 2017, Lyon--3Dイメージング、ガスセンサ、オートフォーカス機能が赤外線(IR)光源市場をけん引:Yole Développement(Yole社)の発表では、IR光源市場は2022年には複数のアプリケーションで15億米ドル規模の市場となり、2027年には38億米ドルにまで拡大する見込みである。「いくつかのアプリケーションが大きな収益を生み出し、今後5年間は堅調な成長率を達成する」とYole社事業部長のPars Mukish氏は説明している。「ガスセンサ、視線追跡システムやジェスチャ認識システムといった他のアプリケーションが新たに台頭してきており、今後10年間で急成長すると期待されている」。
Yole社はIR LED&Lasers:technology,applications&industry trends(IR LEDおよびIRレーザ技術、アプリケーション、業界トレンドレポート)と題した新たなレポートにおいて、IR光源市場のビジョンを提示している。この新たなマーケット&テクノロジー分析では、Yole社のアナリストは専門分野を固体照明技術にまで拡大し、IR光源のすべてのアプリケーションについて徹底した分析を行っている。当該レポートは基本原理、技術、トレンド、主要プレイヤー、市場規模について言及している。また、波長や市場区分、機能ごとのアプリケーション分類を含め、IR光源の現状にグローバルな焦点を当てている。さらに、上記の分類のほか、LED光源や端面発光レーザ、VCSELなどの補完的な分析に基づいて詳細な市場予測を提案している。
LEDやレーザ用のIR光源の市場は新しいものではなく、近年のSSLの発展により急速に進化した。これらの技術(多くがIR LED)は当初、光通信用に開発されたものだが、1980年代にはリモコンなどの消費者向けのアプリケーションに組み込まれるようになった。これに続いて、監視カメラなどの暗視用アプリケーションの登場が市場をけん引した。ごく最近になり、スマートフォンの発展に伴ってIR LEDやIRレーザが再び注目を集めている。「今、市場は今後10年間の成長に向けた準備が整っている」と、Pars Mukish氏は指摘している。
今日では、これらの技術は新たな大変革の一部となっており、スマートフォン向けの用途で発展を続けている。3Dイメージング、オートフォーカス、虹彩認証、顔認証といった画期的な機能の統合が引き金となり、高効率で小さく、複雑なIR照明市場に注目が集まっている。
「このトレンドはIRレーザ(大部分はVCSEL)の強力な市場機会も作り出すことになる」と技術&市場アナリストのPierrick Boulay氏はコメントしている。「また、IRレーザはIR LEDより可干渉性および指向性の高い光を実現できる」
これに関連して、Yole社はIR光源市場が2016年の4億5000万米ドルから、2022年には15億5000万ドルまで成長し、この期間の年平均成長率は22.7%になると予想している。加えて、他のアプリケーションが幾つか台頭してきており、それによって今後10年間に市場が急成長する可能性が高いと見ている。成長が見込まれるアプリケーションにはガスセンサ、LIDAR、ドライバー監視システム、患者の遠隔監視センサなどが含まれている。Yole社は、この新たなアプリケーションの第二波がIR光源マーケットの拡大を促し、2027年にはおよそ38億米ドルの規模に達すると予想している。
LEDプレイヤーにとってIR LED市場は、魅力的なチャンスのある新しい「ブルーオーシャン」市場と認識されている。Yoleのレポートによると、40を超える製造業者がIR LEDに関する事業に関わっており、その多くが中国や台湾に拠点を置いている。現在は、Osram社およびVishay社が同分野をリードしている。EverlightやEpistarなどの企業も、このチャンスを活かすために巨額投資を実施し、着実に市場への介入を進めている。Pierrick Boulay氏は「この数年間、可視光LEDに対する厳しい価格圧力のおかげでIR LED業界は堅調に成長してきた。将来、この事業への参入を試みる従来のLED製造メーカーが増えると予想している」とコメントしている。