December, 22, 2016, London--ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が主導する、413名の患者に対する新しいフェーズⅢ臨床試験の報告によると、ローリスク前立腺ガンの新しい、外科手術をしない処置で、健全組織を維持しながら効果的にガン細胞を殺すことができる。
新しい処置、血管標的光線力学療法(VTP)は、感光性の薬剤を血流に注入し、それをレーザで活性化して前立腺内の腫瘍組織を破壊する。Lancet Oncologyに発表された研究では、VTPで処置された患者の約半数(49%)が完全寛解となっていることが分かった。コントロールグループでは13.5%である。
現在、低リスクの前立腺ガン患者は経過観察下に置かれ、病気をモニタして、病気が深刻になった場合だけ処置が行われる。前立腺全体を外科的に取り去る、あるいは放射線照射を行うような根本治療は長期の副作用を伴うので、高リスクのガン処置にしか行われない。
根本治療は、生涯に渡り勃起不全の原因となり、ほぼ5人に1人が失禁に悩まされる。それと対照的に、VTPでは尿や勃起障害は短期的にしか起こらず、3ヶ月以内に解決した。また、二年後、大きな副作用は残らなかった。
臨床試験では、VTP処置を受けた患者のわずか6%が根本治療を必要としなかった。経過観察下の患者では30%だった。ガンが、より危険なステージに進行する確率は、VTP患者の場合3倍低く、処置は進行の平均時間を14カ月から28カ月、2倍にした。
ヘルスリサーチUCL病院生体医療研究センタ国立研究所の支援をうけているMark Emberton教授は、「新しい処置は一般に習熟曲線と関係があるが、臨床試験で厄介な問題がなかったことから、その治療プロトコルは安全、効率的、比較的簡単に拡張できることを示している。それを繰り返せば、処置ははるかに正確になる。2011年に研究が始まって以来、技術は大きく発展してきたからである」とコメントしている。
「現在、MRIスキャンとターゲット生検を使って前立腺ガンを正確に狙うことができるので、診断と処置はもっと的を絞ったアプローチが可能である。つまり、VTPの恩恵を受ける人を正確に特定し、腫瘍に対してより正確な処置がを行える。そうしたアプローチでわれわれは、試験よりもはるかに高い寛解率を達成できる。また低リスクの局所前立腺癌を寛解にすることができる。VTPが全ての他のタイプのガンで効果を持つことを望んでいる。この処置は前立腺ガンのために開発された。新たな治療が焦眉の急だったからだ。しかし、乳ガンや肝臓ガンなど他の固体GaNにも転用できる」。