November, 1, 2016, NY--この種の研究で初めてマウントサイナイ(マウントサイナイ医科大学、耳鼻咽喉科)の研究チームは、最適なOCT血管造影法(OCT-A)を用いて初期の緑内障を観察し、患者の血管パターンに基づいて緑内障の異なる形の特徴パターンを特定する。この研究により医師は以前よりも早く緑内障を診断し、失明の進行を遅らせることができるようになる。
OCT血管造影法は先進的なイメージングシステムであり、従来の染料注入を行う造影法とは異なり、血管の赤血球の動きを非侵襲的に捉えることができる。この技術を使い、マウントサイナイ(NYEE)の研究チームは、緑内障以外の患者と比較して、緑内障患者は全て、血管が少ないか、眼への血流が少ないことを発見した。研究成果は、IOVSに掲載されている。
研究チームは、2015年4月~8月に50歳以上の92患者を調査し、症状に基づいて患者を3グループに分けた。第一の開放隅角緑内障(高眼圧)、正常眼圧緑内障(低圧)、非緑内障。OCT血管造影法を使用して個々の患者の血管を観察し、緑内障患者は緑内障のタイプに依存して、網膜の最上層の血流不良に異なるパターンがあることが分かった。
「緑内障のタイプに応じて、ある特徴的パターンを特定できたのはこれが初めてである。これによって早期に特定の種類の緑内障を同定できる可能性がある」と眼科研究ディレクタ、主席研究員、Richard Rosen, MDは話している。「研究成果は、緑内障患者の進行性損傷を避けるための新たな治療戦略につながり、最終的に失明に至るような早期損傷をモニタする新しい尺度を提供できるようになる」。
研究チームは、OCT血管造影法で得た画像を分析するための新しいソフトウエアを開発した。このソフトウエアは、眼ごとに灌流視神経毛細血管をマップし、視神経繊維層に供給する血管のパターンを明らかにする。研究チームは、開放隅角緑内障患者に注目して、血流の分布が正常眼圧緑内障の患者とどのように違うかを評価した。次に血液供給パターンと、緑内障による視神経繊維層の損失パターンとを比較。高眼圧緑内障では、血流損失パターンは視神経繊維損失とよく一致した。正常眼圧緑内障の症例では、血流損失のパターンは、開放隅角緑内障と大きく違わないが、一段と広がる傾向がある。
「正常眼圧緑内障は、高圧でなければ認識されることがないので、気づくのが遅れることがよくある。この研究は、正常眼圧緑内障の原因となる血管性要因に注意を向けるものであり、われわれはこれを使って病気を早期発見する方法を特定すると、失明を防ぐことができる」とコメントしている。
さらに研究を進めることで、正常眼圧緑内障の血流のこのような特徴的パターンの特定を改善することに役立つ。この技術の今後の進展により、緑内障の診断と管理のためにOCT血管造影法が標準的なイメージング法になる可能性がある。
(詳細は、www.mountsinai.org)