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貼り付けるだけ、柔らかく伸びる光センサシートを開発

May, 23, 2022, 東京--中央大学、東京工業大学、大阪大学の研究者を中心とする研究グループは、オランダのEindhoven University of Technology、産業技術総合研究所らと共同で、新しい機能を示す光センサシートを開発した。また開発したセンサシートを用いることで、今までにない簡便な液体化学分析手法を確立した。

これまで、環境計測を指向した家庭・産業排水の化学的液質検査では、液体サンプルの採取や試薬の混合が必要とされてきた。遠隔操作を含むオンサイトでの長期的かつ、ユーザーの技量を問わない簡便な計測の実現には、サンプル非採取かつラベルフリーな新規手法の確立が求められる。

今回研究グループはセンサシートの貼り付けという簡便な工程のみで、オンサイトな水溶液濃度計測に成功した。溶媒自身から発せられる広帯域な赤外線放射現象と、それに対する溶質での局所的な吸収に着目することで、サンプル非採取かつラベルフリーな液質計測が可能となる。この液質計測には、研究グループが併せて新規に開発した高感度・広帯域かつストレッチャブルな薄膜状の光センサシートを用いている。植物や塩ビパイプ、蛇腹管、ゴムチューブといった柔らかい素材の液体配管にぴったりと貼り付けることができ、液体の流動性による配管の膨張・収縮・曲げ等の変形に対しても安定して追従可能である。ユビキタスな水質検査に資する基盤技術の実証という本研究成果は、将来、配管セーフティネットの構築に貢献できると期待される。

研究成果は、米国東部時間2022年5月11日付(日本時間5月12日午前3時)で米国の国際科学誌「Science Advances」でオンライン公開された。

(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)