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冠状のこぎりに代わってフェムト秒レーザで頭蓋骨を切断

May 16, 2013, Dresden--脳挫傷を防ぐために医者が開頭術で患者の頭蓋冠を開くことがある。これまで、医者は頭蓋骨をトレフィン(冠状のこぎり)で機械的に切断していた。しかし、そのアプローチは患者のリスクが非常に大きい。トレフィンを使うことで医者は気づかずに髄膜を傷つけることがあり、これが髄膜炎につながって、最悪の場合には死に至る。
ドレスデンのフラウンホーファーフォトニックマイクロシステムIPMS研究所の研究チームは、フラウンホーファーレーザ技術ILTおよび集積回路IIS研究所の研究者とともに、トレフィンを高エネルギーフェムト秒レーザで置き換えることでこのリスクを軽減する考えを発表した。フラウンホーファーIPMSのDr. Thilo Sanderグループマネージャは、「フラウンホーファーILTの研究チームは、医者がレーザビームを操作して頭蓋骨を切断できるようなデバイスを考案した」と話している。
レーザビームは、接続されたミラーアームを通じて手元の部品に送り込まれる。中核部は、フラウンホーファーIPMSの研究チームが開発した2個の新型マイクロミラーで構成されている。1番目のミラーで頭蓋冠を切断する。マイクロミラーが頭蓋骨上でレーザビームを動的に操作する。2番目のマイクロミラーが位置の誤りを修正する。コンポーネントは微小化されているが、20Wまでのレーザ出力に耐えられる。これは、従来のマイクロミラーよりも200倍以上の耐性である。従来品は100mWで、すでに限界に達する。さらに、開発品は5×7mmもしくは6×8mmと非常に大きく、大口径のレーザビームをガイドできる。比較すると、従来のマイクロミラーのサイズは、1~3mm。従来のマイクロミラーのシリコンパネルは厚さ数nmのアルミ層で光を反射するが、フラウンホーファー研究所のマイクロミラーシリコン基板には高反射率の電気層が採用されている。可視光領域ではこのミラーはレーザビームを90%ではなく、99.9%反射する。基板まで達する高エネルギー照射は遙かに少ない。つまり、ミラーが捉えるレーザビームが少ないので、パワー耐性が著しく高い。研究開発の第一の課題は、シリコン基板にハイパワーを捉える、厚さがわずか数μmのコーティングを施すことだった。研究チームは、所望の反射特性を達成するために数μm厚の複数の異なる層をつける必要があったからだ。しかし、これらの層のそれぞれに一定の機械応力が生じ、しかも高温では全ての層が異なる強度で引っ張られる。その結果、基板が歪み、反ってしまう。Sander氏は、「この反りはミラーの光学特性を損なう。これを相殺するように、基板の反対側に同じコーティングを施した」とコメントしている。
開発成果は、ミュンヘンで開催されているLaser - World of Photonicsで紹介されている。今後の予定として、研究チームは切断パフォーマンスの最適化を行う。
(詳細は、 www.ipms.fraunhofer.de)


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