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磁界結合ワイヤレス電力伝送の規格仮発行

 2022年9月2日、IEC 61980-3:2022 PRVが発行された。表題は「電気自動車のワイヤレス電力伝送 (WPT) システム-パート3:磁界ワイヤレス電力伝送システムに特定の要求事項」である。この仮発行は、2022年9月2日から10月14日までの投票期間中に販売されるもので、これを購入すると最終刊行物を自動的に受け取ることができる。
 この規格は、RESS (Rechargeable Energy Storage System 充電式エネルギー貯蔵システム) および/またはその他の電源に電気エネルギーを供給する目的で、道路用電気車両への磁界を介したワイヤレス電力伝送 (MF-WPT) 用の車両非搭載供給装置に適用される。MF-WPTシステムは、IEC 60038に基づく標準供給電圧定格で最大1,000 V ACおよび供給ネットワークから最大1,500 V DCで動作する。電力伝送は、電気自動車(EV)が静止している間に行われる。この規格の要求事項を満たすオフボード電源装置は、ISO 19363で規定されている要求事項を満たすEVデバイスで動作することを意図している。
 この規格で規定していることは以下のとおり。

【特性と動作条件】
– 電気的安全性の要求レベル
– MF WPTシステムで必要な場合は、安全とプロセスに関する基本的な通信の要求事項
– 効率的で安全なMF-WPT電力伝送を保証するための位置決めの要求事項
– MF-WPTシステムのための特定のEMC要求事項

 次の側面は、将来の規格用に検討中。
– 二輪車および三輪車用のMF-WPTシステムの要求事項、
– 走行中のEVに電力を供給するMF-WPTシステムの要求事項、
– 双方向電力伝送の要求事項、
– 主要なデバイスのフラッシュ取り付けの要求事項、
– 大型車両用MF-WPTシステムの要求事項、
– 入力が11,1 kVAを超えるMF-WPT システムの要求事項。

この規格に適用されない内容は以下のとおり。
– メンテナンスに関連する安全側面、
– トロリーバス、鉄道車両、主にオフロードで使用するために設計された車両。

 詳しくはIECのWebへ。(2022年9月2日)
https://webstore.iec.ch/publication/78716

【参考情報】
関連する車両搭載MF-WPTシステムの規格は2020年4月発行のISO 19363:2020で表題は、「電気推進式道路車両—磁界ワイヤレス電力伝送—安全性と相互運用性の要求事項」である。この規格は、電気自動車の駆動電池充電用の磁界無線電力伝送(MF-WPT) を可能にする車載機器の要求事項と動作を定義している。乗用車や軽量自動車での使用を想定し、EVデバイスの次の側面について説明している。

– 安全要求事項
– 伝送電力と伝送効率
– EVデバイスの最低地上高
– さまざまな条件下で、メーカーに依存しない、関連する非車載システムの機能
– 試験手順

 この規格で要求事項を満たすEV デバイスは、IEC 61980シリーズにおいて、MF-WPT に関連した要求事項を満たす電源デバイスで動作することを意図している。但し、走行中の車両への充電と双方向の電力伝送は考慮されていない。
 詳しくはISOのウェブへ(2020年4月時点の掲載物)。
https://www.iso.org/standard/73547.html