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IEEEが環境および安全技術の貢献に対しメダル授与

 IEEEによる2021 IEEE AWARDSによると、環境および/または公共の安全を改善する分野での技術適用における卓越した成果に対しKaushik Rajashekara氏が賞を得た。理由は、排出量の削減とエネルギー効率向上のための輸送電化技術の進歩に対する貢献である。同氏は輸送電化技術の進歩において先駆的な取り組みを行い、陸上、空中、海上の輸送手段のエネルギー効率を改善して、環境中の有害な排出物を削減した。
 最も重要な貢献は、GE社のEV1やその他の商用車両など、電気自動車の効率と性能を最大化するための動力技術と推進技術である。
Rajashekara氏は、効率を最大化し電気自動車の推進システム性能を最適化するために、ACマシンのトルク制御用のさまざまな制御戦略、スイッチング方法、マイクロプロセッサ実装技術を開発。また、バッテリを他の推進システムから切り離し電気自動車のDCリンクコンデンサを充電する方法も開発したが、これにより、バッテリを安全に切り離すことができ、コンデンサにバッテリを突然接続しても、DCコンデンサを安全に充電できる。こういったコンセプトは、今日でも電気自動車やハイブリッド車で使用されている。
 同氏は、燃料電池スタックの出力を制御し、スタック電流と水素入力を関連付けるための技術を開発することで、燃料電池車の推進システムに多大な貢献をしたが、これはガソリン改質装置ベースの燃料電池車など、初期の燃料電池デモ車の多くで使用されてきた。
 また“more electric engines”および“more electric/hybrid electric aircraft.”を掲げて、さまざまな技術とシステムの研究で進歩を実現した。その中には、電力変換および制御戦略、高圧シャフトと低圧シャフト間の電力共有の効果的な管理、多くの電化・ハイブリッド化のための
アーキテクチャ、エンジン故障時の重要な負荷への電力供給、空港の地上排出量を削減する電気航空機の地上走行などがある。
石油やガスの採掘の電化を可能にする海底電気システムに関しては、排出量を削減し海底の石油とガスの探査の安全性を向上さるのに役立つ業績があった。
 Kaushik Rajashekara氏は、IEEEのLife Fellow会員およびU.S.National Academy of Engineeringの会員である。米国テキサス州ヒューストンUniversity of HoustonのEngineering with the Department of Electrical & Computer Engineeringで教鞭を取る、著名な教授でもある。
 なおEE Online誌に同氏の著作「Green Ovations|Flying Cars and e-VTOL Vehicles:The Future of Transportation for Reducing Emissions(緑の喝采|空飛ぶ車とe-VTOL車両、排出量を削減するための輸送の未来)」が掲載されているので参照されたい。この本では、垂直離着陸機(VTOL:Vertical take-off and landing aircraft)の進歩により輸送の未来が再形成され、目的地に速く到着し道路の交通渋滞を減らすだけでなく、世界中の輸送からの温室効果ガス(GHG: Green House Gas)排出量全体を劇的に削減するのに役立つと主張している。内容は、eVTOLの分類、独自の設計要件、搭載する電力量、電気機械、パワーエレクトロニクスとモーターコントロール、その他の問題、交通の未来に分けて論じている。
 詳細はIEEE等のウェブへ。

● 2021 IEEE AWARDS BOOKLET、P11 参照:
https://www.nxtbook.com/nxtbooks/ieee/awards_2021/index.php
● EE Online 誌の記事:
https://bit.ly/3oMONFZ