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DO-160規格の概要(その2)

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3-5.セクション 19.0:誘起信号妨害感受性
 誘起信号感受性には、電源周波数高調波、音声周波数信号、他の機器から発生する電気的過渡現象などに関連した干渉信号の影響を決定する5項目の試験が含まれる。この試験は、航空機内のユニットのワイヤハーネスに近接して送られ相互接続している他の束で発生したノイズをシミュレーションする。
 カテゴリには、感受性レベルを上昇させるB、A、Z、Cが含まれる。5項目の試験で最も厳しい試験は、緊密にラップされたワイヤ上のスイッチング・リレーのチャタリング・ノイズが関係している。(図5参照)

3-6.セクション 20.0:無線周波妨害感受性(放射及び伝導)
 無線周波妨害感受性試験の目的は、ユニットおよび付属ケーブルが無線周波妨害電磁界に曝される際に製品が動作するかどうか判定することである。無線周波妨害感受性の試験は、実際には放射妨害波感受性と伝導妨害波感受性の2項目であり、それぞれRS、CSと呼ばれることが多い。EUTに連続波(CW)、方形波、パルス変調モードの無線周波(RF)ノイズを印加する。
 試験は2項目とも航空機に据え付けられているユニットが停止せず確実に動作することが目的である。セクションのカテゴリには、第1にCSレベル、次にRSレベルを第2(つまり“YG”)とする識別子が含まれる。放射妨害波感受性では電波無響室およびアンテナを使ってRFに製品を攻撃させるが、伝導妨害の感受性ではEUTのI/Oケーブルにノイズを誘導させるため注入クランプを使用する。(図6参照)

3-7.セクション 21.0:無線周波エネルギーのエミッション
 放射および伝導エミッションは、航空宇宙用製品に適用する基本的なエミッション試験である。このセクションは、セクション 20.0のように
放射と伝導の2項目の試験に分けられる。無線周波エネルギーのエミッションの目的は、機器が飛行機上で生じるRFエネルギー量に上限を設定して制限することである。これにより航空機への正しい組み込みと動作を確実にする。
 カテゴリは、機器の設置位置に基づき許容できるエミッションをさまざまなレベルに設定している。航空機メーカーが設計する製品の種類も考慮する。
 伝導エミッション測定の標準的なセットアップを次の図7に示す。

3-8.セクション 22.0:雷誘起過渡妨害感受性
 雷誘起過渡妨害感受性試験は、航空機への落雷や、雷が製品の相互接続ケーブルに結合した場合などの雷事象をシミュレーションすることを意図している。
 誘導雷試験とも呼ばれるこのセクションは本来、非常に厳しいもので、何百何千アンペアもの電流がユニット・コネクタの単一ピンに流れる。セクションはピン・インジェクション、誘導されたケーブル束への印加、マルチ・バースト試験の3つの部分に分けられている。ピン・インジェクションは、印加後の製品のハード障害を探すのだが、ケーブル束とマルチ・バーストは、事象が起きている最中にユニットが動作する必要があることが多い。
 各々の試験は、持続時間が最大500 μsで異なる波形を含む。レベル1 ~ 5では厳しさが増し、最高3200ボルト、5000アンペアに達する。
このセクションは、適合するのが最もむずかしいことが多い。(図8参照)

3-9.セクション23.0:直撃雷の影響
 直撃雷の影響は、誘導雷とは対照的に雷が直接落ちる可能性のある製品を試験する。これは航空機の外側に取り付けられる製品に限られている。このセクションには、高電圧印加試験と高電流印加試験がある。機器が損傷を免れることはあまり期待されていないが、航空機の安全を脅かす事態になってはいけない。(図9参照)

3-10.セクション 25.0:静電放電
 静電気放電試験つまりESD試験は、製品が静電気放電に対して信頼性を確保するための試験である。このセクションの試験は、人間の接触で起こる静電気放電に関与する恐れのある航空機内の機器に関するものである。これは、標準的な動作中または航空機の整備中に使う全ての製品に適用できる。コネクタのピンには適用できないが、航空機メーカーがこれを必要とすることも多い。(図10参照)

4.まとめ
 DO-160のEMCセクションは、製品が航空機内で正常あるいは異常と見なされる条件に耐えて動作する能力を徹底的に試験する。この500ページにもおよぶ規格に適合することは簡単ではない。試験を理解し、それをどうやって製品設計に適用するのか認識することが重要である。私はwww.aerospacepal.com にてユーザーの理解を助けるDO-160のビデオなど幅広い内容を公開している。文中に目次として掲載したセクションをもっと詳細に述べる機会もあるので、Interference Technology誌で私の投稿を引き続き読んでいただきたい。

著者紹介 
 Patrick Albersman氏は、航空宇宙専門のコンサルタントでAerospace Pal, LLC社の設立者。電子航空宇宙設計およびRTCA/DO-160 のエキスパートで、航空宇宙分野で10年以上の経験がある。Minnesota大学を卒業後、Goodrich/UTC Aerospace Systems社の設計エンジニアとしてキャリアをスタートさせた。航空宇宙分野で最も厳しい雷やHIRF(High Intensity Radiated Fields)レベルに適合が必要な非常に重要なセンサの設計を通じてDO-160に関する知識を深めた。その後Sensata社で自動車部品、Orbital ATK社で航空宇宙向けの高性能兵器システムの設計に携わった。Aerospace Palを設立したのは2014年で、コンサルティングやトレーニングを通してエンジニアや設計者がRTCA/DO-160の航空宇宙要求事項を理解する手助けをしている。
連絡先: patrick@aerospacepal.com。

図5.DO-160 図19-4:音声周波数電界感受性試験のセットアップ
図6.DO-160 図20-2:放射妨害波試験のセットアップ
図7.DO-160 図21-6:伝導RF妨害波エミッション試験の標準的なセットアップ
図8.DO-160 図22-17:標準的なケーブル誘導試験のセットアップ
図9.DO-160 図23-10:トランジェント注入の測定するための標準的な設置
図10.DO-160 図25-2:ESD発生器の簡略化した回路図