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IEC 61000-4-31イミュニティ規格についてRalf Heinric博士にインタビュー

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製品のAC電源は16A以下だろうか? IEC 61000-4-31は、電気・電子機器に対する意図的および/または非意図的広帯域信号源からの周波数範囲150 kHz ~ 80 MHzの電磁妨害の伝導イミュニティに関する規格である。本稿はInterference Technology誌のSenior Technical EditorであるKenneth Wyatt氏とAMETEK CTS社 RF開発部門長(Head of RF Development)のRalf Heinrich博士が新規格IEC 61000-4-31について対談したものである。内容は、この規格が従来の試験と異なる点、なぜ作られたのか、新規格で試験するのはどういうものか、ということについてである。

Kenneth Wyatt氏(以降KW):IEC 61000-4-31で試験する目的は何だろうか? どのイミュニティをシミュレーションしているか?この規格につながるような現場の問題はあったのか?
Ralf Heinrich博士(以降RH):何年か前に実際に現場で問題が見つかったことがある。そこで起こったRF 妨害の事象は、既存のよく知られたIEC 61000-4-6の試験では再現できなかった。詳細な調査により、この妨害はディファレンシャルモードの要素であることが明らかになった。これが、新規格IEC 61000-4-31を開発する新規作成提案の出発点となった。IEC 61000-4-31の表題は「電磁両立性(EMC)- 第4-31部:試験及び測定技術 - AC主電源ポート広帯域伝導妨害イミュニティ試験(Electromagnetic compatibility(EMC)– Part 4-31:Testing and measurement techniques – AC mains ports broadband conducted disturbance immunity test)」である。IEC 61000-4-31はIEC 61000-4-6と同じくコモンモード試験への追加、またIEC 61000-4-19のようにディファレンシャルモード試験に対しても部分的な追加と見なされていて、周波数範囲は低い。

KW:試験セットアップはどのようなものか? 結合方法に何か珍しいものがあるか?
RH:セットアップはIEC 61000-4-6と非常に似ている。つまり信号発生器、アンプ、そして結合回路網というセットアップである。試験レベルは、セットする手順と同程度のレベルを使って決める。製品委員会の決定次第だが、妨害信号のキーイング動作をシミュレーションするために、パルス変調を適用する場合がある。

KW:これは他の類似したタイプの試験とどのように異なっているのか?
RH:周波数範囲150kHz ~ 80MHzはIEC 61000-4-6の場合と同じだが、IEC 61000-4-6はコモンモード結合を使う。一方、IEC61000-4-31の場合は主にディファレンシャルモード結合を使う。もう1つ重要な差異は、広帯域信号で試験するので無限の周波数成分を持つマルチトーンのように非常に速く試験ができる。IEC 61000-4-19は、同じくディファレンシャルモード結合ではあるが、周波数範囲が2 kHz ~ 150 kHzと低く、広帯域信号でもない。

KW:この試験は半電波無響室で実施しなければならないのか? または通常の試験エリアで試験実施可能か?
RH:これは伝導RFイミュニティ試験である。例えばIEC 61000-4-6を適用する同じ試験所の条件、つまり電磁環境条件がEUTを正しく動作させ、試験セットアップからの放射エネルギーが局所的な妨害規制値を超える場合には、シールド室を使う必要がある。
KW:この規格はいつ発行されたのか?
RH:2016年7月28日に発行された

KW:これは基本規格で間違いないか? 製品規格に採用するにあたって考慮すべきことはあるか?
RH:通常、これは新しい基本規格が製品規格に採用されるのに数年かかるプロセスである。

KW:では、この試験を今実施するべきなのは誰だろうか?
RH:自社の製品が懸念なく動作すること、つまり現行のEMC 規格への適合だけでなく将来的な規格にも適合させることは、多く
のメーカー(例えば家電製品など)にとっての関心事である。

KW:新規格を製品規格に採用するのはどんな感じだろうか?
RH:(言わせてもらえば)これは一種の冒険であり、15年以上さまざまな規格委員会で活動してきた私の経験から言うとめったに起こらないことである。通常、規格委員会の仕事は既存規格の改善を基本としている。そこでは試験機器、試験手順、試験レベルその他が十分に定義されていて、その既存認識と経験に基づいて改善が実施される。新しい規格をスタートするときは、全く話が別である。実際に観察された妨害現象は、EMC試験所で実際に再現可能な試験手順に変換される必要がある。試験手順やレベルはもちろん試験機器も、試験に意図されたアプローチが実際の妨害現象に本当に整合しているかどうか検証できるよう設計されなければならない。世界中から専門家が集まった国際的チームでそのような仕事をすることは挑戦であると同時に楽しみでもある。自社(特に上司と技術チーム)の支援と、国内委員会からの指名には大変感謝している。
詳細はAMETEK CTS 社のウェブへ。
http://www.ametek-cts.com/en/home.html