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投稿記事を書くときのコツ

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1. なぜ書くのか?

・プライド…クリエイティブな人にとって自分の書いたものが掲載されているのを見るのは嬉しいものである。誰にでも本来、クリエイティブでありたい、そしてその創造性を認められたいという願いがある。

・貢献…うまく書かれた技術記事は業界コミュニティの知識全体に貢献し、多くのエンジニアの助けとなる可能性を秘めている。記事は詳細な「アカデミックレベル」の内容である必要はない。実際、最も人気のある記事は既存あるいは新技術の「堅実」で実用的な解釈が多い。

・キャリアの強化…出版物のある人は現勤務先でのポジションを強化でき、他のチャンスにつながるかもしれない。私の場合、書くことが自身のキャリアにとってどれだけ重要であったか、とうてい説明することはできない。1970年代半ばに大学を卒業し電気工学の学位を得たとき、私は既にいろいろな趣味の雑誌に3つの記事を投稿していた。卒業後の就職面接に私は記事のコピーを持参し作品集として見せた。それは技術的実績の証拠となって同席したエンジニアから自分を差別化することができ、多くの仕事が舞い込んだ。私は企業エンジニア30年以上のキャリアを通じて、この方法を活用した。書くことがキャリアにどう役立つかの詳細は、私の記事「Seven Habits of Highly Successful Consultants(おおいに成功するコンサルタントの7つの週間)」(参考文献1)を参照していただきたい。

2. アイデアを得る
 ライター志望者の多くは、何を書けばよいのかアイデアが浮かばないことを嘆く。経験上、アイデアを得るのに最適の方法は、他の設計者や試験エンジニアにとって価値のあること(試験、分析、設計)を自分はしているだろうか? と自問することである。
 インターネットや他の雑誌、ニュース記事など他からもアイデアを得る。ポケットにいつもノートを持ち歩いて、浮かんだ考えを書き留める。そうすればアイデアは去来するので、良いものをすぐに書き留めればよい。私は目覚めたときやベッドの中で一生懸命考えているが、その人に最適な場所や時間があるだろう。ノートはいつでも手に取れるようにしておくこと!
 興味を持った雑誌の編集者に自分のアイデアをシェアしてみよう。編集者は最適なトピックを決め、思考を整理するのを助けてくれる。編集者の多くは、将来のライターとざっくばらんな議論を交わすのを歓迎してくれる。
 良い記事とは、内容が何か新しい、あるいは既存のものを新しい方法で表現している。個人的な測定・シミュレーション結果や経験を用いて基本的コンセプトを示すのも有効で、読者に人気がある。ここでもまた、読者は実用的記事や自分の仕事を楽にしてくれるような内容を好む。

3. リサーチ
 もちろん、対象となる雑誌は徹底的に研究する。いくつかの記事サンプルで文章の書き方を調べてみるとよい。書こうとしているトピックが最近、掲載されてはいないか? 同種の雑誌を読んで、スタイルやトピックスを比較してみよう。
 ライターに対するガイドはあるだろうか? 多くの雑誌は将来のライター向けにガイドを提供するものである。ガイドにより読者が望むトピックスや文体、ドラフトに使う推奨ツールやフォーマットがわかるので、注意深く読んでおく。例えばInterference Technology のライター向けガイドは参考文献2 で読むことができる。
 ウェブを見たり編集者に確認したりして、その雑誌の「編集カレンダー」を知ることもできるだろう(該当ウェブ内の「広告主様へ」の項目で見つかることもある)。その年に採用されるトピックスの種類や発行予定についての理解が深まるだろう。
 盗作は論外であり、「ブラックリスト」入りの理由になることを忘れないでほしい。盗作だけはやってはいけない! 必ず自分自身の言葉で書くこと。他の人が書いたことを活用したり、構想の元にするのはかまわないが、引用元のクレジットは入れておく。

4. 構成
概要から始める:概要があれば、考えが深まり、本筋から外れないようになる。私は、ほぼ必ず概要から始めて、考えを整理する。記事には3つの主要なテーマあるいはコンセプトがあるものが多い。3つ以上になると読者は混乱する可能性がある。主題を細分化して副題をつけると内容を体系化でき、読者にも自分の意図が伝わりやすくなる。
 下記は一例である。

1.はじめに
2.トピック1_a.いろいろな考察ポイントおよび図
3.トピック2_a.いろいろな考察ポイントおよび図
4.トピック3_a.いろいろな考察ポイントおよび図
5.結論
6.参考文献

「はじめに」:まず何を言いたいか、なぜこれを読むべきなのか読者に伝えてから本文を書く、そして書いた内容に読む価値がある理由で締めくくるとよい、と昔からよく言われている。というのも、読者はたいてい時間に追われているので、なぜ記事を読む必要があるのかをまず説明したほうがよい。一番重要な情報をタイトルと最初の段落に入れること。

メインの内容:ここではリサーチが重要となってくる。対象となる雑誌のスタイルに合わせて書く必要がある。Interference Technologyの例で言えば、トピックについて同業者のグループと議論したり、話題を提起したりするスタイルを勧める。一人称を用いれば内容の堅苦しさが和らぐ。また平易な英語を使うこと。はっきりした書き方をして、受動態より能動態を使うほうがよい。
 スタイルに関しては、Chicago Manual of Style[3]やIEEE Computer Society’s Style Guide[4]を参照すると大いに役立つはずである。編集者はたいてい締め切りに追われているので、仕事をスムーズにするためにできることなら何でも歓迎される。
 主題はいくつかの小見出しに分けるのが最適である。そうすることで話題が次の小見出しに移るポイントおよび機会を明確にできる。
 記事の長さは一般的に雑誌のページ数でカウントして4~6頁ぐらいに収めたほうがよいが、掲載する雑誌や扱う話題にもよる。だいたい2000 ~ 3000 ワードで、6~10個の図版(図、表、写真など)入りといったところである。WORDソフトには「ワードカウント」機能があるので使うとよい。

「要約」または「結論」:これは、普通1~2個の短いパラグラフで、 主題(または「考慮すべき点」)を要約し、記事を締めくくる働きをする。結びとなる意見はここに加える。

図:どんな技術記事であっても図は非常に重要である。ほとんどの読者は文字情報よりビジュアル情報を好むからである。だが、図の描画や写真撮影となると非常に苦労するライターも多い。
 図版や画像はオリジナルで作成するのが常に最適で安全な方法であり、そのためのツールもいくつかある。Microsoft VisioやPowerPointといったソフトはシンプルな図版を作るのに便利である。Macユーザーなら、Easy Drawもお勧めである。Excel やOneNoteから表をコピー/ペーストするのも問題ない。
 大きな図(表、チャート、ブロック図、写真)を使って、適切に伝えるよう心がける。キャプションには番号を振る(例「: 図1.キャプション~」)。長めの記事には6~10個の図が適切だが、トピック次第である。キャプションを全て大文字にしないこと。
 著作権のある他の記事などから図を「借りる」場合は、キャプションの他に最小限、引用元のクレジットを入れなければならない(例:「引用元:××△△」など)。本当は著者や発行者から文書で許可を取るのが最善である。特に多く借りる場合には必須である。
 図や写真は高解像度のものを使うこと! 他から画像を抽出する(他の記事またはウェブから切り抜く)ことは通常認められないし、きれいに印刷もできない。また図のファイル名は図番号と同じにして、本文と合わせられるようにしておく。
 写真撮影は少々トリッキーで、ライティングが貧弱だったり対象に近づくのが不十分だったりして、失敗することが多い。私は記事に使う写真については、ほとんどiPhoneやコンパクトカメラを使っている。机に青い薄板が敷いてあるので整然とした明るい背景が可能になるからである。背景として厚紙やスチレンボード(発泡スチロールの板)を使ってもよい。フラッシュを使うと対象物に必要以上の陰影が生じるので、フラッシュより自然光を使うのも好みである。
 ディテールの一部が少し暗い場合は、Editモードを使って「Shadow」スライダーを操作し輝度を若干あげるとよい。トリミングツールを用いて対象物の周りの余分なスペースを削除することもできる。ここに最近、普通の蛍光灯のもとiPhoneで撮影したサンプル写真がある(図1)。この例では、私は立ち上がって少し寄り気味にiPhoneを構え、周囲の光を対象物に当てるようにしている。このテクニックには非常に拡散した影を使うことに注意してほしい。

5.実際に書くプロセス
 Interference Technologyに記事を書く場合、最終的には記事の書式を適用するが、ドラフトのうちからきれいに見せようと思う必要はない。多くのライターはWORDや同様のソフトを使っている。ドラフトにはヘッダーやページナンバーは不要である。編集スタッフによる削除という余分な労力がかかるからである。
 どんなワードプロセッサを用いてもよいが、クラウド・ストレージを使ってマルチプラットフォームで動作する無料アプリMicrosoft OneNote[5]はお勧めである。OneNoteがあれば、アイデアやドラフトがスマホやタブレット、PCなど全てのデバイス上で自動的にアップデートされる。食料品を買っているときにアイデアが浮かんだとしたら、スマホでOneNoteを起動してメモすれば、他のデバイス全てでアップデートされる。実に便利である!
 OneNoteを使うと、複数のプロジェクトや記事の進行が簡単になる。各プロジェクトに異なるタブを割り当て、それぞれのタブに複数の「ページ」が格納される。私はいつも各タブのプロジェクトセクションの1ページ目は、目次(またはラフな概要)から始めることにしている。そして次のページから記事を書き始める。図や表、グラフなどはテキスト中に取り込むことができ、キャプションを追加できる。図の番号が本文中にもあることを確認する。ドラフトが仕上がったら、全ての内容をWORDまたは他のワードプロセッサにコピー/ペーストする。

6.スケジュール
 ドラフトが完成したら、数日間寝かせておくとよい。そうすることで頭脳にある種の「休止時間」が与えられ、考えを追加して改善することができる。
 一般的に雑誌は発行日の2~3ヵ月前から作業が始まるので、ドラフト記事を提出する際にはそのことに留意しておくとよい。
 最終原稿をWORD等で提出する際、オリジナルの高解像度画像/図版は別のフォルダに入れておく。Dropboxなどはダウンロード用リンクがあるので、ファイルの受け渡しに良い方法である。図版が高解像度なら、メール経由の場合はWORD文書に埋め込むのも簡単である。
 記事を編集者に提出したら最終の編集作業にかかる。同時に記事によってはエディトリアル・レビューのメンバーに送られて意見を求める場合もある。レビューが済み編集された原稿は最終修正・承認のために著者に戻される。ときには最終レイアウトの形で届くので、タイプミスやフォーマットの問題などに細心の注意を払う。いったん印刷されると回収して修正を入れることは相当にむずかしいからである。
 ここで、雑誌側から著作権譲渡および発行の同意についてサインするように声がかかる。これは雑誌出版社ではよくおこなわれることである。たいていの雑誌は、特別に依頼したプロジェクト以外ではライターに代金を払ってくれないが、最初に述べたように発行してもらうことには他の利益がある。そのことは、私のエンジニアキャリアにおいて個人的に証明することもできる。
 雑誌側は記事が発行されると知らせてくれることが多いが、最良のライターは読者でもあるので、その雑誌がいつ売店に並ぶのか知っていることだろう。発行されたら、自分のソーシャルメディアを通じて広く告知し、同業者に読んでもらう必要がある。これは「インタ-ネットの存在感(internet presence)」が非常に重要になっている昨今、特にフリーランスのコンサルタントや在宅ワーカーにとっては必須のプロセスである。

7.結論
 この記事が、出版についてのスキルや才能を発揮しようと思っている人の励みになれば幸いである。参考文献6、7にもテクニカルライティングに関する記事があるので参照されたい。
2018年7月6日 by Kenneth Wyatt

注:「Interference Technology 誌」の場合、投稿記事にはいくつか種類がある。

長めの技術記事(3000~6000ワード):
• 毎年春発行の「EMC Directory & Design Guide」(3月、紙媒体)
• 毎年発行の「European EMC Guide」(10 月、デジタル版)

ブログ:
短め(1000~2000ワード)の記事で、直接ウェブに投稿し承認後すぐに発行される。ブロガーには2種類ある。
•「寄稿」ブロガー:1ヵ月に最低1つの記事(2つ以上は書かない)を書き、謝礼金は100~250ドル
•「ゲスト」ブロガー:謝礼金はなし。思いついたときに投稿する。

特別プロジェクト:
時にはマーケティング部署が誰かをアサインしてクライアントのために白書やブログを書く機会を提供する。謝礼を出して依頼するが、クライアントに対して会社を代表する立場になるため技術的なハードルは相当高い。十分に吟味された予備ライターに名を連ねるには、記事サンプル(またはリンク)、他の仕事などを提出して、自身の技術的スキルレベルや専門分野をデモンストレーションする必要がある。

参考文献
1.Seven Habits of Highly Successful Consultants (Wyatt),
https://www.linkedin.com/pulse/seven-habits-highly-successful-emc-consultants-kenneth-wyatt/
2.Interference Technology Writer’s Guidelines,
https://interferencetechnology.com/editorial-contributions/
3.Chicago Manual of Style
https://www.chicagomanualofstyle.org
4.IEEE Computer Society’s Style Guide
http://www.computer.org/web/publications/styleguide
5. Microsoft OneNote
https://products.office.com/onenote
6. How To Write an Interesting Technical Article,
https://www.red-gate.com/simple-talk/how-to-write-an-interesting-technical-article/
7. How To Write a Good Technical Article (McConnell),
https://pdfs.semanticscholar.org/f90f/14116be8a11abfb646ad77496d51ce816545.pdf

著者紹介 
Kenneth Wyatt氏はWyatt Technical Services LLCの社長兼コンサルタント。InterferenceTechnology誌のシニア・テクニカルエディターでもある。EMCエンジニアリングの世界で30年以上のキャリアを持ち、専門はエミッションのトラブルシューティング、予備適合試験。共著に「EMC Pocket Guide」「RFI Radio Frequency Interference Pocket Guide」など人気のガイドや、Patrick Andréと共著の「EMI Troubleshooting Cookbook for Product Designers」(Henry Ottの序文付き)がある。EMC SocietyのEDN.comでも3年近く、幅広いテーマでブログを投稿している。IEEEシニアメンバー、EMC Societyの長年にわたるメンバーでもある。

連絡先:
ken@emc-seminars.com
kwyatt@interferencetechnology.com
ウェブ:
http://www.emc-seminars.com

図1.近日ブログにアップ予定機器のサンプル写真