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NUS、3Dシーン構築に前例のない角度分解能の光場センサ

June, 30, 2023, Singapore--光場イメージング用のカラーエンコーディング技術は、自動運転、仮想現実(VR)、生体イメージングなどの分野にアプリケーションがある。

シンガポール国立大学(NUS)科学学部、化学部のLiu Xiaogangをリーダーとする研究チームは、角度分解能が非常に高い3Dイメージングセンサを開発した。これは、光学計測器の能力で、小さな角度距離、0.0018°で分離された物体の点を区別することができる。この革新的センサは、角度から色への独自の変換原理で動作し、X線から可視光スペクトルまでで3D光場を検出できる。

光場は、統合された光線の強度と方向を含む。人の目は、これを処理して物体間の空間的関係を正確に検出できる。しかし、従来の光センシング技術は、あまり効果的ではない。例えば、ほとんどのカメラは、2D画像しか生み出さない。これは、普通の写真には十分であるが、VR、自動運転車、生体イメージングを含む、より先進的なアプリケーションには不十分である。これらのアプリケーションは、特定空間の正確な3Dシーン構築を必要とする。

例えば、自動運転車は、光場センシング利用により通りを見て道路の危険物を正確に評価することができる。それに応じてスピードを調整するためである。光場センシングにより外科医は、様々な深さで患者の生体構造をイメージングできるので、より正確に切開でき、患者のケガのリスク評価を改善できる。

「現在、光場ディテクタは、レンズアレイ、あるいはフォトニック結晶を使って、多くの異なる角度から同じ空間の多重画像を撮る。しかし、実用的な利用のために、これらの要素を半導体に組み込むことが複雑で高価である」(Liu)。「従来技術は、UVから可視光波長域でだけ光場を検出できるが、X線センシングへの適用には限界がある」。

加えて、マイクロレンズアレイなどの、他の光場センサと比較して、NUSチームの光場センサは、80°以上のより大きな角度計測域、より小さなセンサでは、能力的に0.015°以下の高い角度分解能、0.002nm~550nmの広いスペクトル応答範囲である。これらの仕様により新しいセンサは、より高い奥行き分解能で3D画像を撮ることができる。
研究成果は、Natureに発表された。

ペロブスカイトナノ結晶で可能になった
新しい光場センサの中核には、優れたオプトエレクトロニック特性を備えた化合物、無機ペロブスカイトナノ結晶がある。その制御可能なナノ構造によりペロブスカイトナノ結晶は効率的な光エミッタとなり、励起スペクトルは、X線から可視光までとなっている。ペロブスカイトナノ結晶と光線との相互作用は、注意深くその化学特性を変え、微量の不純原子を添加することで調整もできる。

研究チームは、ペロブスカイト結晶を透明博膜基板にパタン形成し、それらをカラーCCDに組み込んだ。これは、入力光信号をカラーコード出力に変換する。この結晶コンバータシステムは、光場センサの基本的機能ユニットを構成する。

入力光がセンサに当たると、ナノ結晶が励起される。次にペロブスカイトユニットが、入力光線が当たった角度に依存して様々な色で独自の光を放出する。CCDは、放出された色を捉え、それが次に3D画像再建に使用できる。

「しかし、単一の角度値は、3D空間における物体の絶対位置を確定するには不十分である。もう1つの基本結晶コンバータユニットを最初のディテクタに垂直に加え、それを設計された光学系と統合することで、問題の物体に関する、より多くの空間情報が提供できることを発見した」とNUS化学部、論文の筆頭著者、Dr i Luyingは、説明している。

次にチームは、概念実証実験でその光場センサをテストし、チームのアプローチが実際に、1.5m離れて置いた物体の3D画像を深さとサイズの正確な再建で捉えられることを確認した。

その実験は、その新しいセンサの能力が、さらなる細部の解像度があることも実証した。例えば、コンピュータキーボードの精密画像は、個々のキーの浅い突起部分さえも捉えて表示された。