June, 2, 2021, Nottingham--ノッティンガム大学(University of Nottingham)の研究者は、超音波イメージングシステムを開発した。これは、光ファイバ端に導入可能であり、体内に挿入して細胞異常を3Dで可視化できる。
新技術は顕微およびナノスコピック解像画像を生成する。これは、身体の到達が困難な箇所の細胞を医者が調べる際に役立つ。また、これを使うと胃ガンから細菌性髄膜炎までの病気のより効果的な診断ができるようになる。
その技術による高いレベルの性能は、現在、大規模な科学的計測器をもつ最先端の研究機関でのみ可能である。それに対して、このコンパクトなシステムは、それを臨床状態に持ち込んで患者ケアを改善する可能性がある。
工学・物理学研究委員会Engineering and Physical Sciences Research Council (EPSRC)助成のイノベーションは、従来の蛍光ラベル(顕微鏡下で細胞生物学検査のために利用される化学物質、大量投与では人の細胞に有害となり得る)の必要性も低下させる。
研究成果「ファイバプローブによる3Dフォノンイメージング」は、Light: Science & Applications.に発表された。
論文の著者、Salvatore La Caveraは超音波イメージングシステムについて次のようにコメントしている。「ナノスケールアクセス中ずっと、試料の堅さを計測する能力、生体適合性、内視鏡の可能性が、それを際立たせている。これらの特徴によりその技術は、将来の体内計測となる、つまり侵襲性の少ないPOC診断の究極目標である」。
現在プロトイブ段階で、研究者が言う「フォノンプローブ」、非侵襲的イメージングツールは、標準的な光学顕微鏡に組込可能である。それは先端に強力な光とカメラを備えた薄いチューブであり、体内をナビケートして、多くの病気の中でも、ガン病変を見つけ、分析し、手術できる。光学およびフォノン技術の統合は優位性がある、臨床ワークフロープロセスのスピードアップ、患者への侵襲的試験処置低減である。
3Dマッピング機能
医者が、腫瘍を示唆する皮下組織の異常な「硬さ」を調べるために物理的な試験をするように、フォノンプローブは、この「3Dマッピング」コンセプトを細胞レベルに適用する。
空間で超音波プローブをスキャンすることで、試料表面、表面下で顕微構造の堅さと空間的特性の3Dマップを再現できる。大型顕微鏡のように小さな対象をイメージングする力がこれで狩野にうなる。また、コントラストは、超音波プローブのように対象を差別化できる。
「ガン細胞が硬いかどうかを計測できる技術は、ラボの顕微鏡で実現されているが、これらの強力なツールは、大きくて、動かすことができず、患者と向き合う臨床設定には適応できない。内視鏡機能をでナノスケール超音波技術が、これを飛び越えようとしている」(Salvatore La Cavera)。
動作法
新しい超音波イメージングシステムは、エネルギーの短パルスを放出する2つのレーザを利用して、試料の振動を刺激、検出する。レーザパルスの1つが、ファイバ端に作製された金属層、ナノトランスデューサ(エネルギー形態を変換することで機能)に吸収される、これは、試料に注入される高周波フォノン(音の粒子)を生成するプロセスである。次に第2のレーザパルスが音波と衝突する、つまりブリルアン散乱プロセスである。これらの「衝突」レーザパルスを検出することで、進行音波の形状が再生され、視覚的に表示される。
検出された音波は、材料の硬さについての情報をエンコードし、さらにその形状もエンコードする。ノッティンガムチームは、パルスレーザと光ファイバを使って、このデュアル機能を実証した初のチームである。
イメージングデバイスのパワーは一般に、システムが見ることができる最小の物体によって計測される、つまり分解能である。2Dでは、もフォノンプローブは、:顕微鏡と同等、1µmオーダーで対象を「分解」できる。しかし3Dでは、それはナノメートルスケールでの計測ができる、つまりファイバオプティックシステムでは前例がない。
将来のアプリケーション
論文では研究チームは、その技術が従来の内視鏡で利用されているように、1本の光ファイバとイメージングバンドル(1㎜径)の10-20,000ファイバの両方と互換性があると証明している。
結果的に優れた空間分解能と広い視野が、サンプルの異なる点からの硬さ情報、空間情報を収集することで普通に達成でき、デバイスを動かす必要がない、つまり新しい種類のフォノン内視鏡が手の届くところにある。
臨床医療を超えて、精密製造や計量などの分野がこの高分解能ツールを表面検査、材料評価に使うことができる。既存の科学的計測器の補完または置き替え計測である。3Dバイオプリンティングや生体組織工学などの成長する技術も、プリントニードルの外径に直接それを統合することで、フォノンプローブをインライン検査ツールとして使用できる。
次にチームは、Nottingham Digestive Diseases Centre and the Institute of Biophysics, Imaging and Optical Science at the University of Nottinghamと提携して一連の生体細胞と組織のイメージングアプリケーションを開発する。目的は、今後数年で実行可能な臨床ツールを実現すること。
(詳細は、https://media.eurekalert.org)