January, 18, 2021, Berlin--フラウンホッファ(Fraunhofer Institute for Reliability and Microintegration) IZMの研究チームは、産業パートナーおよびヘルスケアパートナーと協力してハンディなグラフェン酸化物ベースのセンサプラットフォームを開発する。目的は、敗血症、コロナウイルスに対する抗体など、急性感染を数分以内に検出すること。
COVID-19パンデミックの現状は、さらなる拡大を阻止するために迅速かつ正確に感染を検出することの重要性を強調している。今日、症状は、ウイルス、バクテリア感染診断に役立つ手がかりを提供している。しかし、多くの感染は、同じ症状を示するので、その兆候は簡単に誤読され、病気が誤診される。血液テストは確実性を提供するが、ラボはホームドクターからの処方により実行するだけである。結果がラボに届くまでに、医者は不要かも知れない抗生物質を処方することがよくある。
一滴の血液で診断
フラウンホッフIZMの研究者は、2018年以来、酸化物グラフェンベースセンサプラットフォームのプロジェクトGraph-POCに取り組んできた。感染診断で正確にこれらの課題に対処するためである。一滴の血液あるいは唾液だけで正確な分析を実施できる。センサ面へ落とした後わずか数分で、電気信号がテスト結果をホームドクターに送る。この迅速テストは、Labの長引く血液取扱に取って代わり、15分以内に確実さを提供する。診断から間違いや推測を取り除くので、医者は適切な処置、最適な抗生物質を処方できる。
テストは、患者が感染から回復した後に、存在する抗体を検出するようにも設定可能である。フラウンホッファIZM研究者は、COVID-19ウイルスの早期感染の検出にこれを適用することに焦点を合わせている。これは、感染がどのように拡大したかの追跡に役立つ。人体は、感染に反応して、バイオマーカーという分子、つまりタンパク質を形成する。グラフェンベースセンサ面の分子を捉え、これらバイオマーカーを検出する。バイオマーカーの濃度の示差測定法が、感染が存在するかどうかを決める。
計測面を広げる3D構造
このセンサプラットフォームの最も顕著な特徴は、その基材である。電気伝導および生体適合である酸化物グラフェンは、非常に信頼度が高い検出手段でもある。今日までグラフェンは、その元の形態、2D単層でマイクロエレクトロニクスにのみ使用されていた。フラウンホッファIZM研究者は、今ではそれを3D構造、薄片形状で利用しようとしている。この3D形状は、計測面を広げ、計測精度を向上させる。
フラウンホッファIZMの研究者、Graph-POC サブプロジェクトマネージャ、Manuel Bäuscherは、この酸化物グラフェンセンサの先に素晴らしい展望があると見ている。「われわれは、現在の医療分野から展開して、要求のある場所の方向でも開発できる、すなわち環境技術や環境の影響の方向である。しかし、言うまでもなく、コロナアプリケーションはわれわれの第一優先である」とコメントしている。酸化物グラフェン薄片3Dアレイと向上した感度は、さらなるアプリケーションにもドアを開く。例えば、それは一酸化炭素、アセトンなどの有害気体を室温で検出できる。現状では、これらのガスはまず加熱して、表面反応を始動させなければならない。酸化物グラフェンは、金属酸化物がその敏感な表面と結合すると、低温で反応する。
フラウンホッファIZM研究者は、製造プロセを量産に拡大することに取り組んでいる。数100のチップが一度に処理できるように、ウエファレベルで酸化物グラフェンを被覆しようと考えている。
コロナウイルス感染後一年以内に抗体の検出が可能
グラフェン酸化物ベースのセンサは、迅速テスト導入前に、プラスチックキャリアに組み込み、システムの信頼度のテストが必要である。感染検出のための本来のプロジェクトは、2021年春までに実施される予定であるが、研究者は、コロナウイルスのためのセンサの検証にさらに1年かかるとは考えていない。