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ニールスボーア研究所、レーザを使って電波を超高感度検出

March 11, 2014, Copenhagen--電波は、様々な用途で利用されているが、計測機器の検出器のノイズ(雑音)のために、測定感度や精度が制限されている。ニールスボーア研究所(Niels Bohr Institute)の研究チームは、レーザ光を使うことでノイズを回避できる新しい方法を開発し、極めて高精度の計測ができるようになった。
計測機器のディテクタにおける「ノイズ」は、先ずは熱によるものであり、熱が原子や電子を無秩序に動かすために計測精度が落ちる。計測機器のディテクタのノイズを抑制する通常の方法は、それを5~10Kに冷却するものであるが、これは高価であり、またこれによって微弱信号が計測できなくなる。
コペンハーゲン大学ニールスボーア研究所Quantop研究センタ長、Eugene Polzik教授によると、研究チームは冷却不要、室温で動作するがほとんど熱雑音がないディテクタを開発した。本来的に残存する唯一のノイズはいわゆる量子雑音であり、これはレーザ光そのものの最小限の振動である。
オプトメカニクスというこの方法は、機械的動作と光放射間の複合的相互作用。実験は、アンテナ、キャパシタ、レーザビームで構成。アンテナが電波を捉えて信号をキャパシタに送り、レーザビームで読み出す。つまりキャパシタとレーザビームでディテクタを構成する。しかしキャパシタは通常の金属板ペアではない。
「われわれのシステムでは、キャパシタの1つの金属板を50nm厚の膜で置き換えている。このナノメートル膜により、システムを冷却することなく超高感度計測が可能になる」とAlbert Schliesser研究所教授は説明する。
同氏によるとキャパシタは3層でできており、基板はアルミ層を乗せたガラスチップで、ここには陽極と陰極がある。ナノメートル膜自体はSiNでできており、薄いアルミ層をコーティングしている。電界との相互作用をよくするには金属物質でなければならないためである。チップと薄膜との距離はわずか1マイクロメートル(μm)。
電波信号が薄膜で振動を起こし、レーザビームを使って光学的にその信号を読み取ることができる。薄膜の機械的振動、金属層の電気特性、薄膜を直撃する光との複雑な相互作用により、この読み取りが行われる。
この方法は、Eugene PolzikとAlbert Schliesserがニールスボーア研究所の理論量子光学グループ、米国メリーランド州、Joint Quantum Instituteと協力して開発した。電気光学チップは、DTUのNanotechで開発された。
このオプトメカニカル法にはノイズ(雑音)が3種類ある。アンテナの電気雑音、薄膜の機械熱雑音、光の量子雑音。電気雑音は技術的であり、主に環境擾乱によるもの。Albert Schliesser氏によると、これは実験をシールドする適切な方法を見つければよいことだった。
すべてが通常の室温で起こり、機械的「熱雑音」はほぼ存在しない。この理由について研究グループはいくつかの要素をあげている。薄膜が極めて高い機械特性を持っていること、薄膜を真空チャンバに入れることで薄膜を環境から分離していること。これらにより薄膜は、あたかも2K(-271℃)に冷却したかのように応答する。
レーザにはほとんど雑音はない、これは全てのフォトンが同じであるためだ。こうして、ナノメートル膜の特殊な性格が存分に生かされる。
「この薄膜は、極めて優れた発振器であり、超高感度であるのはそのためだ。室温で、この薄膜は-271℃に冷却したかのように効果的に動作する。われわれは、それをさらに273℃、つまり絶対零度に近づけようとしている。加えて、光検出を使うことには途方もないメリットがある。光ケーブルを使うことができ、エネルギーの損失が全くないからだ」とEugene Polzik氏は説明している。
(詳細は、 www.nbi.ku.dk)

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