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ダイヤモンドを用いて量子エラー訂正に成功
January 31, 2014, つくば--筑波大学、磯谷順一名誉教授、日本原子力研究開発機構(JAEA)量子ビーム応用研究部門 半導体耐放射線性研究グループ大島武リーダーのグループは、ドイツとの共同研究により、室温での固体量子ビットの量子エラー訂正に世界で初めて成功した。
研究グループは、固体中の単一の核スピンを量子ビットに利用し、量子エラー訂正に必要な3量子ビットまで拡張することを目指した。核スピンを用いる量子ビットには、量子情報を保持する時間が長いという長所がある。一方で、単一核スピンでは初期化や読み出しが難しい上に、計算を構成するステップとなるゲートの動作速度が遅いという短所もある。エラー訂正に手間取ると新たなエラーが入り込む。研究グループは、ミクロな磁石として強さにして3桁大きい電子スピンと組み合わせることにより、高速化を図った。着目したのが、単一の電子スピンからなる量子ビットについて、室温での光による初期化や読み出しが実現している特異的な系であるダイヤモンド結晶中のNVセンタ。
窒素は核スピンをもつが、炭素は天然存在比1.11%の同位体13Cのみが核スピンをもつ。NVセンタの単一の欠陥(単一の分子に相当)に関して、14N(天然存在比99.63%)に加えて、13Cを2個もつものを作製し、これを、単一の核スピン3個と単一の電子スピン1個からなるサブナノスケールのハイブリッド量子レジスタとして用いた。NVセンタという特異的な系において電子スピンとの相互作用を用いると、核スピン量子ビットの初期化、読み出し、2量子ビットゲート操作を高速に実行できる。これにより、「量子情報を保持する時間が長いことと、動作速度が速いことの両立」を室温で実現した。
量子コンピューティングの超並列計算能力は、量子力学特有の現象「エンタングルメント」と呼ばれる「複数の量子ビットの状態が強い相関関係をもって分離できない状態」に基づいている。研究グループは、ハイブリッド量子レジスタの3個の核スピンを用いて、高品質の3量子ビット・エンタングルメントの生成に室温で成功。さらに、ハイブリッド量子レジスタを用いて、量子コンピューティングに不可欠な量子エラー訂正アルゴリズムの実証にも成功した。
量子エラー訂正の成果のポイントは以下の3点。
・集積化によって量子ビット数の大規模化が可能な、拡張性のある固体素子で量子エラー訂正を実現(これまでは、固体素子では極低温を必要とする超伝導量子ビットの例がある)
・スピンを用いた量子ビットでの量子エラー訂正を実現(これまでは、拡張性のない、核スピン集団のNMRの例がある)
・室温での量子エラー訂正を実現(これまでは、拡張性のない、核スピン集団の液体分子NMRの例がある)
研究グループは、固体中の単一の核スピンを量子ビットに利用し、量子エラー訂正に必要な3量子ビットまで拡張することを目指した。核スピンを用いる量子ビットには、量子情報を保持する時間が長いという長所がある。一方で、単一核スピンでは初期化や読み出しが難しい上に、計算を構成するステップとなるゲートの動作速度が遅いという短所もある。エラー訂正に手間取ると新たなエラーが入り込む。研究グループは、ミクロな磁石として強さにして3桁大きい電子スピンと組み合わせることにより、高速化を図った。着目したのが、単一の電子スピンからなる量子ビットについて、室温での光による初期化や読み出しが実現している特異的な系であるダイヤモンド結晶中のNVセンタ。
窒素は核スピンをもつが、炭素は天然存在比1.11%の同位体13Cのみが核スピンをもつ。NVセンタの単一の欠陥(単一の分子に相当)に関して、14N(天然存在比99.63%)に加えて、13Cを2個もつものを作製し、これを、単一の核スピン3個と単一の電子スピン1個からなるサブナノスケールのハイブリッド量子レジスタとして用いた。NVセンタという特異的な系において電子スピンとの相互作用を用いると、核スピン量子ビットの初期化、読み出し、2量子ビットゲート操作を高速に実行できる。これにより、「量子情報を保持する時間が長いことと、動作速度が速いことの両立」を室温で実現した。
量子コンピューティングの超並列計算能力は、量子力学特有の現象「エンタングルメント」と呼ばれる「複数の量子ビットの状態が強い相関関係をもって分離できない状態」に基づいている。研究グループは、ハイブリッド量子レジスタの3個の核スピンを用いて、高品質の3量子ビット・エンタングルメントの生成に室温で成功。さらに、ハイブリッド量子レジスタを用いて、量子コンピューティングに不可欠な量子エラー訂正アルゴリズムの実証にも成功した。
量子エラー訂正の成果のポイントは以下の3点。
・集積化によって量子ビット数の大規模化が可能な、拡張性のある固体素子で量子エラー訂正を実現(これまでは、固体素子では極低温を必要とする超伝導量子ビットの例がある)
・スピンを用いた量子ビットでの量子エラー訂正を実現(これまでは、拡張性のない、核スピン集団のNMRの例がある)
・室温での量子エラー訂正を実現(これまでは、拡張性のない、核スピン集団の液体分子NMRの例がある)