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IBM研究所、リサイクルプラスチックを抗真菌ナノファイバに変換
January 6, 2014, San Jose--IBMとバイオエンジニアリング/ナノテクノロジー研究所の研究グループは、テレフタル酸ポリエチレン(PET)のような一般的なプラスチック材料を無毒の生体適合材料に変換するナノ医療ブレイクスルーを達成した。これは特に真菌感染症をターゲットにしている。
毎年10億人を超える人々が真菌感染症に罹っている。重症度は、水虫のような局所的皮膚疾患から生死に関わる真菌血症まである。感染症は、体の免疫システムが危うくなっているときに起こりがちで、例えばHIV/AIDS, 癌のような病気が原因となる場合、あるいは抗生物質による治療を受けている時など。
この薬剤耐性問題を緩和するために、効率のよい、病気に特化した抗真菌薬の開発が緊要になっている。従来の抗真菌療法は細胞内に入り込んで感染部を攻撃しなければならないが、真菌膜壁の透過が難しい。また、真菌は代謝的に哺乳類の細胞と同類であるので、既存の薬にとっては健全な細胞と感染細胞との区別が難しい。
こうしたことを認識し上でIBMの研究グループは、PET、廃プラスチックの全く新しい分子への変換を容易にするために有機触媒プロセスを応用した。この新しい分子は、抗真菌薬に変換できる。プラスチックボトルは一般に、機械的に粉末にしてリサイクルされ、衣類、カーペットあるいは遊具のような二次的製品としてしか使用されないので、今回の研究は大変意義深い。
この新しい抗真菌薬は、水素結合プロセスにより自己形成し、Velcro分子のように相互に結合してナノファイバを形成する。この抗真菌薬が治療で活性化するのは、ファイバあるいはポリマ形状のみであり、この点は重要である。
この新しいナノファイバは、プラス電荷を持っており、静電相互作用に基づいて負に帯電した真菌膜だけを選択的に攻撃することができる。真菌膜壁を破り破壊し抵抗を阻止する。
IBMのグループリーダー、Dr Yi Yan Yangによると、「これらの分子がナノファイバに自己組織化できることは重要だ。個々の分子と異なり、ファイバはカチオン電荷、複合体として局所的集中が増えるからである。これにより真菌膜を標的とし、それを溶解することが容易になり、低濃度で真菌を破壊することができるようになる」。
研究グループはIBMのコンピューティング能力を活用して抗真菌アセンブリのシミュレーションを行った。これによって、構造的な修正で所望の効果的な治療ができることを予測した。
ナノファイバの最小発育阻止濃度(MIC)は、複数のタイプの真菌症に対して強い抗真菌性を示した。シンガポールのIBNがさらに研究を進め、ナノファイバがカンジダ・アルビカンス(C. albicans)の99.9%以上の根絶を実証した。これは培養1時間後であり、11処置例後の薬剤耐性は見られなかった。従来の抗真菌薬は、真菌の成長を抑えるにとどまり、6処置例後、感染の薬剤耐性が見られた。
研究の結果分かったことには、ナノファイバは1度の処置後、真菌の生物膜を効果的にバラバラにするが、従来の抗真菌薬は生物膜には有効でないことがある。
(詳細は、 www.ibm.com, またはNature Comm)
毎年10億人を超える人々が真菌感染症に罹っている。重症度は、水虫のような局所的皮膚疾患から生死に関わる真菌血症まである。感染症は、体の免疫システムが危うくなっているときに起こりがちで、例えばHIV/AIDS, 癌のような病気が原因となる場合、あるいは抗生物質による治療を受けている時など。
この薬剤耐性問題を緩和するために、効率のよい、病気に特化した抗真菌薬の開発が緊要になっている。従来の抗真菌療法は細胞内に入り込んで感染部を攻撃しなければならないが、真菌膜壁の透過が難しい。また、真菌は代謝的に哺乳類の細胞と同類であるので、既存の薬にとっては健全な細胞と感染細胞との区別が難しい。
こうしたことを認識し上でIBMの研究グループは、PET、廃プラスチックの全く新しい分子への変換を容易にするために有機触媒プロセスを応用した。この新しい分子は、抗真菌薬に変換できる。プラスチックボトルは一般に、機械的に粉末にしてリサイクルされ、衣類、カーペットあるいは遊具のような二次的製品としてしか使用されないので、今回の研究は大変意義深い。
この新しい抗真菌薬は、水素結合プロセスにより自己形成し、Velcro分子のように相互に結合してナノファイバを形成する。この抗真菌薬が治療で活性化するのは、ファイバあるいはポリマ形状のみであり、この点は重要である。
この新しいナノファイバは、プラス電荷を持っており、静電相互作用に基づいて負に帯電した真菌膜だけを選択的に攻撃することができる。真菌膜壁を破り破壊し抵抗を阻止する。
IBMのグループリーダー、Dr Yi Yan Yangによると、「これらの分子がナノファイバに自己組織化できることは重要だ。個々の分子と異なり、ファイバはカチオン電荷、複合体として局所的集中が増えるからである。これにより真菌膜を標的とし、それを溶解することが容易になり、低濃度で真菌を破壊することができるようになる」。
研究グループはIBMのコンピューティング能力を活用して抗真菌アセンブリのシミュレーションを行った。これによって、構造的な修正で所望の効果的な治療ができることを予測した。
ナノファイバの最小発育阻止濃度(MIC)は、複数のタイプの真菌症に対して強い抗真菌性を示した。シンガポールのIBNがさらに研究を進め、ナノファイバがカンジダ・アルビカンス(C. albicans)の99.9%以上の根絶を実証した。これは培養1時間後であり、11処置例後の薬剤耐性は見られなかった。従来の抗真菌薬は、真菌の成長を抑えるにとどまり、6処置例後、感染の薬剤耐性が見られた。
研究の結果分かったことには、ナノファイバは1度の処置後、真菌の生物膜を効果的にバラバラにするが、従来の抗真菌薬は生物膜には有効でないことがある。
(詳細は、 www.ibm.com, またはNature Comm)