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単層カーボンナノチューブの量産技術を開発

December 27, 2013, つくば--産業技術総合研究所(産総研)ナノチューブ応用研究センター流動気相成長CNTチーム 斎藤毅氏の研究チームは、ナノテクノロジー最先端材料である単層カーボンナノチューブの製造に関する産総研のシーズ技術(eDIPS法)を株式会社名城ナノカーボン(名城ナノカーボン)に技術移転し、両者の共同研究によりeDIPS法による単層カーボンナノチューブの工業生産プラントを開発し、量産性を実証した。
今回、開発したeDIPS法による工業生産プラントのさまざまな反応条件を最適化して、これまで名城ナノカーボンで製造販売してきた高品質カーボンナノチューブ製造に比べて100倍の製造スピード向上を実現した。この成果に基づき、名城ナノカーボンは、国産としては初めて化学気相成長(CVD)法で合成された単層カーボンナノチューブを2014年に上市する予定。これによって高品質、高純度の試料を大量に研究開発用途の市場に投入できるため、単層カーボンナノチューブの実用化研究が加速されると期待される。
産総研のeDIPS法による実験室規模の製造装置や各種ノウハウなどの技術情報を基にして、名城ナノカーボン尾張瀬戸工場内に工業生産プラントを新たに設置した。このプラントの種々の反応条件を最適化した結果、これまでの名城ナノカーボンのSWCNT製造スピードの100倍の製造スピードを達成。また、今回開発した工業生産プラントによって、産総研の実験室規模の装置によって合成したものと同程度の高純度SWCNTが高効率で生産できることも確認した。これはeDIPS法に名城ナノカーボン独自の工程を加えることによって実現したものである。
開発した工業生産プラントで合成されるSWCNTの特徴は以下の通り。

高結晶性(ラマン分光法と透過型電子顕微鏡観察による評価)
ラマン分光法による品質評価の基準であるG/D比(数字が高い程、品質の良さを示す)が、市販品が10~20程度であるのに対し、今回のSWCNTでは100以上。これは不純物カーボンや欠陥が少なく、結晶性が高いことを示している。また、透過型電子顕微鏡による観察からも不純物が少ないことが確認できた。
高純度(熱重量測定による評価として純度99 %以上)
乾燥空気中で加熱すると500~600 ℃で燃焼が始まり重量が減少していった。燃え残った不純物の触媒などの残渣が1 %未満であり、純度としては99 %以上を実現した。
直径(ラマン分光法による評価)
ラマン分光法によりRBMを測定し、その振動数から直径2 nm程度(RBM:110~120 nm)のSWCNTであることが確認できた。
研究チームは、引き続き共同研究を進め、量産化技術のさらなる向上と効率化を目指しつつ、用途開発や周辺技術開発を希望する企業や研究機関に高純度で高品質なSWCNTを供給することにより、カーボンナノチューブを利用した製品開発に貢献していく。
また、生産規模拡大や各種の応用製品開発において連携を希望する企業を募り、名城ナノカーボンのSWCNTの分散技術や塗布技術、半導体型・金属型SWCNTの分離技術とも組み合わせて、カーボンナノチューブの工業化へ向けた企業連携・協業体制を積極的に構築していく予定である。
(詳細は、 www.aist.go.jp)

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