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半導体ナノワイヤからレーザ光発振

December 17, 2013, Munich--ナノワイヤがレーザとして使える可能性をミュンヘン工科大学(Technische Universität München)の研究チームが示した。アプリケーションとしては、コンピューティング、通信、センシングなどが挙げられている。
ミュンヘン工科大学(TUM)は、半導体ナノワイヤのレーザ動作を実証した。レーザは室温で、技術的に有用な波長を発振する。
TUMのヴァルター・ショトキー研究所(Walter Schottky Institute)ディレクタ、Jonathan Finley教授は、「ナノワイヤレーザは、より小型で高速、一段とエネルギー効率のよい光源開発における次のステップを代表するものだ」とコメントしている。潜在的なアプリケーションには、オンチップ光インタコネクト、あるいはコンピュータを高速化する光トランジスタ、光通信向けの集積オプトエレクトロニクス、ビームを操作できるレーザアレイが含まれる。Finley教授によると、ナノワイヤは環境に対する感度が非常に高いと言う点で特別であり、表面積対体積率が大きく、しかも生体細胞に挿入できるほどに小さい。「したがってナノワイヤレーザには、環境センシングや生物学的センシングでの有用性もある」。
この実験ではナノワイヤレーザは、光通信の「スイートスポット」に近い、近赤外光を発した。ナノワイヤレーザは、シリコン上に直接成長でき、フォトニクスとエレクトロニクスの集積も示唆している。また、このレーザは、実際のアプリケーションの必須要件、室温動作が可能である。
TUMが実証したナノワイヤレーザは、人の髪の毛の1/100、1/1000程度に小さく、半導体材料とは異なる複雑な「コアシェル」横断面を持っている。
ナノワイヤの調整されたコアシェル構造により、ナノワイヤはレーザとしてコヒレントな光パルスを生成することも可能であり、光ファイバのような導波路としても機能する。従来の通信用レーザのように、このナノワイヤは、近赤外光を発光できる適切なバンドギャップを持つ材料、III-V族半導体でできている。固有の利点は、ナノワイヤの形状がバルク結晶や薄膜よりも制限がゆるいこと。したがって、通常、組み合わせることができないような材料との組み合わせせが可能である、とFinley氏は説明している。ナノワイヤはわずか直径数10nm、数100nmの基板から成長できるので、結晶格子不整合による制限を緩和するような仕方で、直接シリコンチップ上に成長することができる。こうして、ハイパフォーマンスが見込める高品質材料が実現される。
このような特性をまとめると、今後多様なアプリケーションへの応用研究の可能性が見通せる。例えば、TUMのナノワイヤからのレーザ発光は光励起であったが、実用的なアプリケーションは電気駆動のデバイスが求められる。
現在進行中の研究は、そのようなデバイスで起こっている物理現象をより良く理解すること、また電気駆動のナノワイヤレーザを実現すること、さらにパフォーマンスを最適化し、シリコンフォトニクス向けのプラットフォームに集積することに向けられている。
(詳細は、 www.tum.de)

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