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InGaNの多重中間準位を活用した太陽電池の高効率化の原理を実証

December 10, 2013, つくば--物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点ICYS-MANA研究員、サン リウエン博士(JSTさきがけ研究者)および物質・材料研究機構ワイドギャップ機能材料グループの角谷正友主幹研究員らは、III-V族窒化物半導体に多重の中間準位を形成することで、太陽光の高効率吸収に利用することに成功した。これは、従来は活用が難しかった太陽光の幅広い波長成分の利用を可能にするものであり、太陽電池の効率向上に大きく寄与することが期待される。
研究グループでは、白色・青色発光デバイス(LED)材料である窒化ガリウム(GaN、バンドギャップ:3.4eV)と窒化インジウム(InN、バンドギャップ:0.65eV)が同様の構造を持っていること、およびその波長範囲が太陽光の全波長範囲を含んでいることに着目。In組成を制御した窒化ガリウムインジウム(InxGa1-xN)混晶を中心として、中間バンドを形成できれば、バンドギャップエネルギーに相当する光にとどまらず、それよりも長波長側、太陽光の主要な構成波長である緑や黄色などの可視光を利用して変換効率を向上することができる考えた。
研究グループでは有機金属化学堆積法(OCVD法)用い、n型InGaN層上に発電機能を発揮する領域としてInGaN/GaN量子井戸構造の30層からなり、In組成を変化させたInGaN量子ドットを各量子井戸に埋め込んだ構造の中間バンド太陽電池を作製。この太陽電池の外部量子効率を測定し、2.40、2.29、1.97eVの複数の中間バンド準位が形成され、その結果、本来のInGaNでは利用できなかった450nm~750nmの光が吸収され、電気エネルギーに変換されていることを確認した。
今回の成果は短波長の太陽光成分しか活用できないInGaN型の化合物半導体材料を用いる場合でも、複雑な構造となるタンデム構造を形成することなく広い波長範囲の太陽光成分を利用できることを意味し、その結果として変換効率が大きく向上できる可能性を示しており、太陽電池の効率向上に大きく寄与することが期待される。

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