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超高速分光法で欠陥ダイヤモンドの新用途が明らかに

December 5, 2013, Tucson--超高速レーザパルスを使い、アリゾナ大学Vanessa Huxter助教授の研究チームは、窒素欠陥センタを含むダイヤモンドを、エネルギーがどのように伝播するかを初めて詳細に観察した。これは、量子コンピューティングのような様々な技術進歩の有望候補となる。
この欠陥では、ダイヤモンド結晶構造の中の隣接する炭素原子が1個の窒素と空隙で置き換えられている。このような「欠陥」は予想外の興味をそそる特性となり、そのようなダイヤモンドは多様な技術的進歩の有望な候補として注目されるようになる。
この研究成果は、このようなダイヤモンドの特性理解促進に寄与するものであり、アプリケーションとしては量子コンピューティングから分子の中の個別原子のイメージングまで考えられる、と研究チームは説明している。
欠陥中心は、それがなければ炭素原子の反復格子になっているが、他の原子が炭素原子の場所を占めている。例えば、そのような欠陥はカナリアダイヤモンドを作る、そこでは窒素原子が炭素原子に置き換わっている。窒素欠陥の場合、窒素原子は炭素原子がなくなった空隙に隣接して存在する。
Huxter氏によると、窒素の空隙欠陥はレーザのような光を用いて操作できるので、コンピューティング、データ蓄積、センシング、分子構造を明らかにするような最先端のイメージング技術に利用できる。
「このシステムを量子コンピューティングに用いるためには、いわゆる振動モードという考えが必要になる」。ダイヤモンドの結晶構造を考えると、炭素原子の3D格子が高次の反復構造を形成しているが、原子は場所に張り付いているのではない。原子は、あたかも小さなスプリングで接続されているかのように前後に振動している。窒素欠陥が均一な炭素格子を妨げるところではどこでも振動特性は、例えばレーザパルスで操作するような方法で変わる。
Huxter氏は、「その系のなかで起こっていることを見るためにレーザ光を使う。超高速パルスを使ってハンマーで叩くように打ち、大量のエネルギーを系にたたき込み、そのエネルギーが流れて通過するのを観察する」と説明する。
レーザパルスが窒素欠陥中心で電子を高いエネルギー準位にたたき上げる、これを物理学では励起状態と言う。やがて電子が基底状態に落ちてくるが、これは緩和プロセス。このときにエネルギーが周囲に散乱する。
振動が系の超高速緩和にどのように影響するかを見るために研究チームは超高速レーザパルスを用いた。この緩和が数ナノ秒(ns)の時間スケールで起こるためだ。Hxter氏によると、系の振動スペクトラムをリアルタイムで直接観察できたのは今回が初めてのことである。
研究チームは2D電子分光計を用いた。これは基本的に、その系が基底状態に緩和するのを研究者が観察できるように2D相関「マップ」造る方法である。
「超高速写真が、原子や分子スケールで動作をフリーズさせると考えればよい。われわれは、エネルギーがその系をリアルタイムで流れていくのを見ることができる。また、スナップショットを取ることもできる。エネルギーがどこに入っていき、どこから出てくるかを見ることができる」。
超高速分光学の世界では、フェムト秒で動作するレーザパルスのお陰で、「ナノ秒は100万年のように感じられる」。「われわれの実験では、フェムト秒の時間分解能で欠陥に固有の振動を観察することができた。この振動を直接追跡すると、驚くような新しい結果に行き着いた。この振動が、数千フェムト秒(fs)、量子力学的にコヒーレントであるということも含まれる」。「われわれのシナリオでは、ダイヤモンドは透明な窓のようだ。それを通して欠陥だけを見ることができる。われわれは、レーザパルスを欠陥の吸収に合わせて調整する」と同氏は話している。
(詳細は、 uanews.org)

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